交通事故では脊柱(背骨)に損傷を受けることもあり、それによって後遺障害が残るケースがあります。
身体の状態と後遺障害等級が適したものになるよう、また適正な慰謝料を受け取れるよう詳細を確認しておきましょう。
Contents
交通事故における脊柱(背骨)の後遺障害とは
交通事故に遭った際に強い衝撃が加わるなどして、脊柱(背骨)に後遺障害が残るケースがあります。
ここでは交通事故による脊柱(背骨)の後遺障害について、種類を見ていきましょう。
後遺障害認定における脊柱(背骨)について
後遺障害認定における脊柱(背骨)は、医学的な脊柱(背骨)とは少し意味合いが異なります。
脊柱(背骨)の基準 | 内容 |
---|---|
医学的な範囲 | 脊柱(背骨)は頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨までを指す |
後遺障害の範囲 | 脊柱の変形においては、頸椎・胸椎・腰椎のみが対象範囲になる |
仙骨や尾骨には身体を支えたり運動に携わる機能が備わっていないことから、後遺障害では脊柱に含まれていません。
脊柱(背骨)の変形障害
交通事故で脊柱に損傷を受けたときの後遺障害のうち、一つ目に変形障害があります。
姿勢が悪くなったり背骨が隆起してくるなど、目に見えて変形障害がみられる他、変形によって痛みを伴う場合もあります。
脊柱にこのような変形が生じる原因は、圧迫骨折や脱臼などによるものが多いです。
交通事故で脊柱の部分に衝撃が加わり、骨が折れるなどすることで変形障害が起きます。
脊柱(背骨)の運動障害
交通事故による脊柱の後遺障害には、運動障害も該当します。
脊柱を骨折したことなどにより、脊柱の機能である前屈や後屈、回旋などの動きが制限される状態です。
この場合は可動域や機能性といった点から、頸椎と胸椎・腰椎の区分に分けて症状を確認し、後遺障害等級の認定を検討していきます。
脊柱(背骨)の荷重機能障害
交通事故で脊柱を損傷したときの後遺障害として変形障害と運動障害を挙げましたが、荷重機能障害が残るケースもあります。
荷重機能障害とは、以下のような状態を指します。
- 頸部と腰部の両方を保持することが困難で、常に装具が必要である
- 頸部または腰部のいずれかの保持が難しく、常に装具が必要である
荷重機能障害については、脊椎圧迫骨折や脱臼などにより明らかな変化があり、レントゲン検査などでも確認できる場合となります。
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交通事故で脊柱(背骨)に後遺症が残ったときに認定される後遺障害等級
交通事故による脊柱の後遺障害として、変形障害・運動障害・荷重機能障害の3つを解説しました。
では、それぞれの後遺障害において認められる後遺障害等級は何級になるのでしょうか?
変形障害によって認められる後遺障害等級
脊柱に変形障害が残った場合、以下の後遺障害等級が認められます。
6級5号
6級5号・・・脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの
詳しい画像検査などにより脊椎圧迫骨折などが確認できる場合になり、次のいずれかに該当する際に6級5号と認められます。
- 脊椎圧迫骨折などによって2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し、後彎が生じている
- 脊椎圧迫骨折などにより1個以上の椎体の前方椎体高が減少し、側彎度が50度以上となっている
8級2号
8級2号・・・脊柱に運動障害を残すもの(脊柱に中程度の変形を残すもの)
画像検査から脊椎圧迫骨折などの確認ができ、次のいずれかに該当する際は、後遺障害等級は8級2号が認定されます。
- 2個以上の椎体の前方椎体高が減少し、後彎が生じている
- 側彎度が50度以上ある
- 環椎または軸椎の変形や固定により、60度以上の回旋位または50度以上の屈曲・60度以上の伸展位となっている、エックス線写真により側屈位である状態がわかる(頭蓋底分の両端を結んだ線と軸対下面との平行線が交わったときの角度が30度以上と斜めになっているとき)
11級7号
11級7号・・・脊柱に変形を残すもの
脊柱に変形を残すものとは、次に記すもののいずれかに該当する場合です。
- 画像検査によって脊椎圧迫骨折を起こしていることが確認できる
- 脊椎固定術が行われた
- 3個以上の脊椎において、椎弓切除術などを受けた
運動障害によって認められる後遺障害等級
脊柱の後遺障害で運動障害が残ったときに認められる後遺障害等級は、以下の通りです。
6級5号
6級5号・・・脊柱に著しい変形または運動障害を残すもの
頸部や胸腰部が以下のいずれかによって強直した状態を指します。
- 頸椎および胸腰椎のそれぞれにおいて脊椎圧迫骨折などが起きており、画像検査でも明らかである
- 頸椎および胸腰椎のそれぞれにおいて脊椎固定術が行われた
- 項背腰部軟部組織に明らかな気質的変化がみられる
8級2号
8級2号・・・脊柱に運動障害を残すもの
運動障害で8級2号が認定されるのは、以下のような場合です。
- 画像検査などによって頸椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折などがあり、頸部または胸腰部の可動域が参考角度の2分の1以下に制限されてしまっている
- 頸椎または胸腰椎で脊柱固定術が行われ、この影響により頸部または胸腰部の可動域が参考角度の2分の1以下になってしまっている
- 項背腰部軟部組織に明らかに器質的変化がみられ、頸部または胸腰部の可動域が参考角度の2分の1以下になっている
- 頭蓋、上位頸椎間に著しい異常可動性が生じている
荷重機能障害によって認められる後遺障害等級
脊椎の圧迫骨折や脱臼、脊柱を支える筋肉の麻痺などが画像検査によって明らかにわかる場合、後遺障害として認められます。
認定される後遺障害等級は、以下の2通りです。
- 6級相当・・・障害が残った原因が明らかで、頸部や腰部の両方を保持するのが困難になり、常に装具が必要である
- 8級相当・・・障害の原因が明確で、頸部または腰部のいずれかの保持に困難が生じ、常に装具が必要である
その他体幹骨における変形障害について認められる後遺障害等級
変形障害と運動障害、荷重機能障害において認められる後遺障害等級について見てきましたが、交通事故で脊柱に損傷を受けた場合に体幹骨においても変形障害がみられることがあります。
そのような場合に認められる後遺障害等級は、以下の12級5号です。
12級5号・・・鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの
後遺障害等級12級5号が認定されるには、裸体となったときに明らかに変形や欠損がわかる状態です。
画像検査で初めてわかる程度では、12級5号に該当しません。
一方、状況によっては12級5号が認められる場合もあります。
該当するかわからないときは、一度保険会社に後遺障害等級認定の申請をしてみるのが良いでしょう。
脊柱(背骨)に後遺障害が残ったときに受け取れる慰謝料相場
交通事故でどの程度の衝撃や怪我を負ったのかにより、身体に残る後遺症の症状も変わってきます。
状況ごとに後遺障害等級を見てきましたが、その際に受け取れる慰謝料の相場についても確認しておきましょう。
事故による身体的・精神的ダメージは、本人にしかわかりません。
しっかりと補償してもらえるよう、慰謝料相場を把握しておきましょう。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
6級5号 | 512万円 | 1,180万円 |
8級2号 | 331万円 | 830万円 |
11級7号 | 136万円 | 420万円 |
12級5号 | 94万円 | 290万円 |
後遺障害等級における慰謝料は、等級ごとだけでなく自賠責基準か弁護士基準かによっても大きく額が異なります。
よりしっかりと慰謝料を支払ってもらうためには、弁護士に相談のもと弁護士基準の金額を受け取れるようにすると良いです。
脊柱(背骨)に後遺障害が残ったとき慰謝料請求する際に注意すべきポイント
脊柱(背骨)に後遺障害が残ったときは、医師の診察を受けた上で後遺障害等級の申請を行なうべきです。
後遺障害に対して、慰謝料を払ってもらうことができます。
身体の状態に合わせて正確な慰謝料を受け取れるよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
脊柱(背骨)に変形があるからといって必ずしも認定が受けられるとは限らない
後遺障害等級の認定は、医師ではなく書類審査によって行なわれます。
必要な書類が揃っていない、情報が不足しているといった状態の場合は、脊柱が変形していても後遺障害等級が認定されないことがあるのです。
脊柱の変形では、レントゲンやMRI画像などが重要な証拠となります。
医師の指示のもと、必要な検査を受けて後遺障害等級認定を申請する際に活用できるようにしましょう。
骨折などの有無が交渉のときに問題になることもある
脊柱の変形障害において後遺障害等級が認定されても、保険会社から圧迫骨折などは起きていないと判断され、低い慰謝料額を提示されることがあります。
提示された額面に納得がいかない場合は、保険会社の主張や骨折に関して医師から受けた診断などをもとに見直していくことが大切です。
保険会社と交渉するのに不安がある場合は、弁護士にもご相談ください。
保険会社が提示する逸失利益は適正とは言い切れない
交通事故における後遺障害等級では、慰謝料だけでなく逸失利益の請求もできます。
逸失利益とは、交通事故がなければ得られたであろう将来の収入のことを指しています。
事故で後遺障害が残ると、これまでのように働くことができなくなる可能性があるでしょう。
そのようなときに計算して算出されるのが、逸失利益です。
逸失利益については、保険会社が提示してきます。
しかし、保険会社が提示する逸失利益は妥当とは言い切れない場合があるので注意が必要です。
逸失利益に含まれるべき内容が含まれていなかったり、金額が適正でないなど、逸失利益が正しく提示されていないことがあります。
なかでも脊柱の変形については、保険会社と被害者側とで交渉が難航するケースが多いです。
保険会社から提示された逸失利益に疑問を感じるときは、交通事故に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。
保険会社に既往症があったと言われることがある
交通事故の慰謝料については、保険会社に「事故前から既往症があったのではないか」と言われ、慰謝料が減額されることがあるのです。
このような事態に対しては、事故時の状況や事故前の身体の症状、通院歴や診療記録などを用意する必要があります。
証拠を揃えた後に、慰謝料の額が適正ではないと主張しましょう。
自身で必要なものを揃えるには限界がある、そこまでの気力と体力が残っていないというときは弁護士に依頼して任せるといいです。
エックス線検査だけでなくMRI検査を受けておく
脊柱の後遺障害から適した後遺障害等級認定を受けるためには、より詳しい画像検査を受けておくことも必要です。
なぜMRIなどの精密検査を受けておく必要があるのか、後遺障害等級認定のときに問題となるのか、正しい等級が認定されるための対策などについて確認しましょう。
圧迫骨折は軽症に見られがちが故に見逃されやすい
脊柱の圧迫骨折では、背骨が圧迫されることで骨が折れます。
見た目に大きな変化が見られないことから軽度な怪我に見られがちで、背中や腰が痛いという程度では、多くの病院がレントゲン撮影しかしてくれません。
そして軽微な圧迫骨折は、エックス線検査では確認できないことがあります。
その他に画像検査を受けて圧迫骨折が認められても、加齢性による圧迫骨折であるとみられることもあり、交通事故との関係性が証明できないことがあるのです。
圧迫骨折を放置するとどうなる?
圧迫骨折を起こしている状態では、骨折によって脆くなった椎体に軸圧が加わるため、少しずつ症状が進行していきます。
そのため事故後、しばらく経ってから受けたMRI検査で圧迫骨折が確認できたというケースは多いです。
圧迫骨折が見逃された場合の後遺障害等級への影響
初診時から圧迫骨折が確認されるまでの日数が空いてしまうと、交通事故との因果関係を証明することが難しくなります。
本来認定されるかもしれなかった等級よりも下がる恐れがあり、慰謝料にも影響するでしょう。
圧迫骨折を含むわかりづらい症状への対策法
交通事故の状況、事故前後の自身の身体の状態などを踏まえて、医師に細かく症状の説明をしながら必要な診察を受けるようにしましょう。
エックス線検査では特に異変が見られなかった場合も、医師に相談してできるだけ早くMRI検査を受けるようにしましょう。
交通事故で脊柱にダメージを受けた際の圧迫骨折は見逃されやすいという点を覚えておいてください。
弁護士基準で慰謝料を請求することが大事
後遺障害等級が認められると、等級に応じた慰謝料を受け取ることができます。
先述した通り、慰謝料の額は自賠責基準か弁護士基準かによって大きく異なることがよくあります。
より適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士基準で慰謝料額を計算することが重要です。
しかし、被害者本人が保険会社に対して弁護士基準での増額を求めても、なかなか応じてくれません。
そのようなときは、弁護士に相談することで、被害者に代わって示談交渉などを進めていきます。
保険会社も、弁護士に対しては弁護士基準もしくはそれに近い金額で応じてくれるでしょう。
交渉が難航すると、被害者は精神的にも辛い思いをすることになります。
そんなときは、弁護士に相談して交渉や必要な手続きなどをお願いしてみましょう。
納得のいく慰謝料を受け取ることができます。
自身の脊柱の後遺障害を正しい後遺障害等級認定で受けたいなら弁護士にご相談を
交通事故では、身体の軸となる脊柱に大きな衝撃が加わることで傷つくことがあります。
その一方で、検査ではすぐに原因を発見できなかったり、保険会社から提示された後遺障害等級に不満が残るなど、事故後に悩みが尽きません。
そのようなときは、交通事故に詳しい弁護士に相談することで今後の生活に安心感が得られるでしょう。
保険会社と交渉する際に必要な情報を揃えたり、納得のいく慰謝料を受け取れるよう全力でサポートしてくれます。
後遺障害等級認定に関して不安があるときは、いつでもご相談ください。
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