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保育園事故の裁判事例を見て園側が負うリスクと法的責任を理解しよう

保育園事故が起こる5分前

保育園は業務の性質上、常に食事や玩具の誤嚥や遊びの最中で起こる転倒や落下など、事故が起こり得る危険性を多く孕んでいる場所だと言えます。

中には複数の子どもたちが巻き込まれる可能性がある事故もあり、子どもたちやその保護者との信頼関係が損なわれるだけでなく、世間からの園の評判が下がる上に多額の損害賠償を求められ、その後の保育園運営が難しくなる可能性があります。

過去の裁判例から、どのような事故が起こりえるのかを知っておき、園での事故に備えましょう。

保育園、幼稚園、こども園で発生した事故の裁判事例とは

保育園事故の現場

子どもは大人には予測できない行動をするため、園には危険が多く潜んでいると言っても過言ではありません。

よくある日常的なシチュエーションから事故に発展することがあるので、園では日々子どもの事故を想定しながら保育する必要があります。

以下はよくある日常の業務内で発生した事故と裁判事例になります。

昼食中にウインナー誤飲で男児が心肺停止

幼稚園に通う男児(当時4歳)が昼食中に食事を喉に詰まらせたことで後遺症を負った事故がありました。

男児は昼食時にウインナーを誤嚥したことによって心肺停止に陥ったのです。

教諭はウインナーを吐き出させるために背中を叩き続けたり異物除去を試みましたが、救急隊が到着するまでの間に心肺蘇生を行わなかったことが後遺症を引き起こしたと男児の家族から主張されました。

男児の家族は園や教諭らを相手取り、約5億4千万円の損害賠償を求めた裁判を起こし、園側の一部対応に安全配慮義務違反があったと認め、裁判官から計550万円の支払いを命じました。

判決理由では、一部の対応には安全配慮義務違反があるとされましたが、心肺蘇生の実施が早かったとしても後遺症が残らなかった可能性は不明確とされました。

参照:埼玉新聞 男児が心肺停止、昼食中にウインナー誤嚥…後遺症 幼稚園に賠償命令 必死で吐かせる教諭ら心肺蘇生せず

園児同士のぶつかり事故で後遺症

遊具を片付けるために園児が遊具室の外にある道具箱への行き来の際に、遊戯室から走ってきた男児2人が衝突し、一人は頭を強く打ったことにより内斜視に、もう一人は前歯を折る怪我を負った事件がありました。

内斜視となった男児の家族が園側に安全配慮義務違反があったとして、園に2,028万円の損害賠償を求めた訴訟の裁判を起こしました。

判決は、事故と内斜視の因果関係が認められるとし、その上で逸失利益と後遺障害が残った慰謝料と合わせて請求額とほぼ同額の支払いを命じられました。

判決理由は、道具箱が遊戯室から死角となる場所に置かれていたことで、園児らが衝突しないような場所に道具箱を設置する義務を怠ったこと。

そして衝突事故が発生する危険性は容易に予見することができる為、園児らの近くで監視・監督する教諭らを配置する義務を怠った、というものです。

参照:NHK “幼稚園児衝突で後遺症” 岐阜地裁が学校法人に賠償命じる

女児が雲梯(うんてい)に首を挟み心肺停止

木製の雲梯に女児が上っていたところ、水平のはしご部分と筋交いの間に首を挟まれて心肺停止に陥り、低酸素脳症となり9か月後に死亡しました。

この雲梯は別の保育所の特注品で、同型のものを製造会社から購入したものでしたが、遊具メーカーなどの業界団体が定めた安全基準を満たしていませんでした。

亡くなった女児の家族が運営法人と園長、保育士に約5500万円の損害賠償を求めた裁判を起こし、運営法人に約3100万円の支払いが命じられました。

判決理由は、事故を予想する事は困難だったとして、園長と保育士の過失は認められませんでしたが、園側としては保育所保育指針を理解できおらず、購入した遊具の基準や危険性を認識していなかったためとしています。

参照:朝日新聞デジタル うんていに首挟まれ3歳児死亡 地裁、保育所に賠償命令

保育園の事故に関する法的責任

保育園の事故に関する法的責任

保育園で事故が起こった場合、園側にはどのような法的責任が生じるのでしょうか。

民事責任

保育園の民事責任とは、民法415条1項または民法709条の条文にある「園が保護者との間で締結した保育契約に基づいて負う債務を履行しなかった場合に負う金銭賠償の責任」のことです。

ポイントは以下になります。

  • 安全配慮義務を怠った不履行責任
  • 子どもに損害を与えた不法行為責任
  • 保育士を雇っている立場としての使用者責任

これらの民事責任に関しては、保育士自体の責任は勿論、園長先生や保育園自体も該当します。

そして保育園での事故の民事責任は重くなる傾向にあります。

刑事責任

保育園を含んだ児童を預かる施設などでは、児童の安全に配慮すべき注意義務があります。

これを怠ったため児童が死傷する事故が発生した場合、園としては刑事責任を追うことはありませんが、事故に携わった保育士や職員が業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)に問われる場合があります。

そうなった場合、園に警察の捜査が入り、職員らが事情聴取を受けることになるでしょう。

行政責任

園の施設の設備や運営に関する児童福祉法「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」、この法令で定められた基準を満たしておらず、更に是正措置を採るように再三の指示がされたにも関わらず改善されなかった場合、行政処分(改善命令、業務停止命令、解散命令など)がなされる可能性があります。

保育園事故では誰に損害賠償責任が生じるのか

事故の現場がどこであっても、保育園事故の損害賠償責任は保育の実務を担当している保育士や園の従業員だけでなく、園を運営する法人にも使用者責任が発生する可能性があります。

保育園での怪我や死亡が起きた場合に想定される事象

保育園での怪我や死亡が起きた場合に想定される事象

保育園事故の内容によっては園の社会的評価に大きく関わり、保育園の運営が困難になるでしょう。

例に挙げますと、以下のような事象が想定されます。

保護者からのクレームとその対応

保育園事故が保護者に認知されれば、「うちの子は大丈夫なのか?」と感じた保護者が一斉に園に問合せをするでしょう。

そうなると、電話対応や保護者説明会の開催準備などに追われ、通常業務を圧迫することになるでしょう。

報道やSNSなどでの誹謗中傷

保育園事故の内容によっては報道される事態になることもあります。

マスコミは世間の注目度を上げるためにショッキングな見出しを掲げることもあれば、内容を大げさに書く記者も現れます。

そこからSNSなどで批判の的になり、炎上することで多くの人の目に留まります。

そうなるとSNSには園の関係者のプライバシーを侵害するような書き込みがされることも過去の事例から見受けられます。

退園による園児の減少

園側の事故対応が悪手となれば、今いる園児らの保護者から「この園は信頼できない」と判断され、子どもを退園させる保護者が続出するでしょう。

現職の保育士や職員の離職と求職者の減少

事故が発生した園では、保育士や職員は全員対応に追われるため疲弊が溜まります。

特に事故に直面した保育士などは、精神的な疲労から精神疾患に繋がることもあり、最悪の場合には離職することもあります。

別のケースでは、園が適切な情報提供を怠ったり、保育士や職員に適切なサポートを行わなかった場合、職員たちの中で不信感が広がることで大量離職のきっかけになりかねません。

同じ保育の業界の人がその園の悪評を聞けば、そこで働きたいとは思わないでしょう。

そうなれば求職者を集めることが困難になります。

保育園が顧問弁護士をつけることが最善である理由

保育園が顧問弁護士をつけることが最善である理由

保育園に顧問弁護士が付いていれば、保育園事故が起こった際の対処は勿論、普段の業務に関わるトラブルの予防や対処も任せることができます。

安全管理体制の構築支援とリスク管理

保育園事故を未然に防ぐためには、各保育士や職員が感じた危険事例やヒヤリハットを職員全員で共有すること、そしてその原因と対策を関係者全員で取り組む必要があります。

特に、保育業では安全管理の問題に適切に対応するための定期的な研修が行われているかどうかが監査項目の一つにされている場合が殆どでしょう。

しかし現実には、業界全体が保育士の人材不足に陥っており、保育士一人に対する業務量が増えている傾向にあり、その多忙さから園内で情報共有が疎かになっているケースが増えています。

そういった場合には、顧問弁護士の指導の下、安全管理の研修や委員会の定期開催の実施や、その会合での法的なアドバイスを教示してもらうことができます。

人事労務関係の整備

保育園での保育士の働き方は、早番や遅番などのシフト制を組んでいることが殆どですが、長時間労働やサービス残業に繋がりやすい体制とも言えます。

退職者から後に残業代請求の内容証明郵便が届くことがあるかもしれません。

顧問弁護士がいれば、そうなる前に就業規則の作成やチェック、雇用関係の書類の整備をすべて任せることができます。

また、解雇や再雇用に関する労働条件について争いが生じた場合には、訴訟対応は勿論、早期解決のための事前交渉も任せることができます。

行政の指導監督に関するアドバイスや立会

社会福祉法人としての保育業の場合、行政による定期的な監査である指導監督が行われます。

顧問弁護士なら監査の立会に対応できるため、行政の担当者からの高圧的な調査を未然に防ぐと同時に、担当者に緊張感を与えることが可能です。

近隣住民からの苦情に対する対応

保育園を運営する上で、近隣住民とのトラブルは避けては通れません。

園児の声がうるさい、保護者や送迎車両が溜まって公道を塞いている等、これらは保育園でよく起こるクレームの代表事案です。

これらのクレームに職員が1件1件対応しようものなら、通常業務が圧迫されて、職員の子どもたちへの危機管理意識が散漫する恐れがあります。

顧問弁護士がいれば近隣住民と保育園の間に入り、正当な苦情とそうでない苦情とを振り分けることにより、話し合いによる解決をスムーズに行うことができます。

問題が起こる前に顧問弁護士を付けて備えよう

保育園の顧問弁護士

保育園事故が発生すると、通常の保育業務以上の業務が発生するため、それに伴う混乱や業務の圧迫は避けられません。

事故後の初動を誤れば、保育園の運営が成り立たなくなるような事態に直結します。

初動の段階から弁護士に相談することで、適切なアドバイスを受けながら対応や交渉を進めることができるため安心です。

必要な書面も代わりに作成、チェックしてもらえるため、業務の負担を軽減できます。

事故に対する初期対応から弁護士に相談しておくことで、交渉や対応が行き詰まった際に窓口対応を弁護士に変更できるメリットもあります。

保育園を運営するに当たり、過去の保育園事故の裁判事例を理解し、保育園事故の対応から様々な予防に関わってサポートしてくれる顧問弁護士を付けることをお勧めします。

保育園の顧問弁護士のことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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この記事の監修者

大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
保育園の顧問弁護士に関することなら、どうぞお気軽にご相談ください。