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学校からなくなったものは個人情報保護法に起因?学校での個人情報の管理方法最前線

学校でなくなった名札

個人情報の紛失や漏洩といったトラブルから、個人情報の保護が重要視されるようになりました。

子供たちが過ごす学校現場では、昔は当たり前にあったものでも個人情報の保護という観点からなくなったものがあります。

個人情報保護法と学校の関係、個人情報を扱う際に注意すべきことなどについて詳しく解説します。

個人情報とは?

個人情報保護

個人情報保護法について見ていく前に、個人情報とは何なのかを理解しておきましょう。

個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるものを指しています。

個人識別符号とは、その情報から特定の個人を識別できるものであり、文字や番号、記号、指紋などが該当します。

身近な例でみると、以下のような内容が個人情報にあたります。

  • 本人の氏名
  • 生年月日、連絡先(住所、電話番号、メールアドレスなど)
  • 会社での職位または所属に関する情報について、本人の氏名を組み合わせた情報
  • 防犯カメラに記録された情報など本人が識別できる映像情報
  • 本人の氏名が含まれるなどにより、特定の個人を識別できる音声録音情報
  • 特定の個人を識別できるメールアドレス
  • 電話帳、新聞、ホームページ、SNSなどで公にされている個人に関する情報

一般的に個人情報と呼ばれているものといえば、氏名や生年月日、住所、顔写真などを思い浮かべますが、このような情報だけには限らないという点を意識しておく必要があります。

たとえば、次のような情報も個人情報に含まれるため確認しておきましょう。

  • 個人の身体
  • 財産
  • 職種
  • 映像や音声による情報
  • 評価情報

個人情報には個人のどこまでの情報が含まれるのかという点については、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に詳しく記載されています。

出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)

個人情報保護法について

個人情報について理解を深めたところで、個人情報保護法について解説しましょう。

学校での個人情報の問題について考える際、まずは個人情報保護法がどのような法律なのかを理解しておく必要があります。

個人情報保護法とは、個人情報の保護に関する基本事項と民間分野における事業者の守るべき義務を定めた法律です。

個人情報を適正に扱うこと、有用性に配慮しながら個人の権利や利益を守ることを目的としています。

個人情報保護法では、国や地方公共団体の責務、個人情報を取り扱う事業者が遵守すべき義務などについて定められています。

一方、公的分野においては、次のように規定されているため確認しておきましょう。

該当機関内容
国の行政機関行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
独立行政法人など独立行政法人などの保有する個人情報の保護に関する法律
地方公共団体など各地方公共団体の定める個人情報保護条例が適用される

個人情報を扱う機関によって、適用される法律が異なるのが特徴です。

学校現場における個人情報保護法

学校現場における個人情報保護法

個人情報を取り扱う現場の一つに、学校が挙げられます。

児童や生徒の個人情報を多く預かっている場所ともいえるでしょう。

では、学校現場において、個人情報保護法はどのように適用されるのでしょうか?

最初に、学校の種類によって適用される法律が異なる点から押さえておきましょう。

学校の種別適用される法律
国立学校独立行政法人などの保有する個人情報の保護に関する法律
公立学校各地方公共団体の定める個人情報保護条例が適用される
私立学校個人情報の保護に関する法律

上から順に見ていくと、国立学校は国立大学や独立行政法人国立高等専門学校機構によって設置されていることから独立行政法人などにあたるとして、独立行政法人などの保有する個人情報の保護に関する法律が適用されます。

公立学校は、各地方公共団体が個人情報の保護に関する条例を定めているため、それに基づいて個人情報保護条例が適用されるようになっています。

最後に、私立学校は個人情報取扱事業者に該当することから、個人情報の保護に関する法律が適用されるようになっているのです。

私立学校において個人情報保護法が適用される背景には、私立学校が個人情報取扱事業者に該当するためです。

個人情報取扱事業者とは、個人情報データベースなどを事業のために共有している者のことを指し、ここでは国の機関や地方公共団体、独立行政法人などを除いたものとしています。

このような内容から、国立学校や公立学校は個人情報保護法が適用されません。

個人情報の観点から学校でなくなっているもの

学校における個人情報保護は、学校の種類によって適用される法律が異なることがわかりました。

個人情報に関する法律が整備され、個人情報の取り扱いに注意が必要となった今、昔は学校にあったものがなくなってきています。

個人情報という観点から、今の学校になくなってきているものをいくつかご紹介します。

連絡網

クラス一人ひとりの連絡先が載っている連絡網は、今では廃止となり見かけることがなくなりました。

以前に名簿業者に高値で取引されるという事実が発覚し、その後学校の連絡網は廃止する流れになったのです。

学校からの連絡を連絡網を使って電話で順番に伝えるということもなくなり、今では学校からの一斉メールなどでお知らせを受けるところが増えています。

名札の着用

個人情報保護法の制定に伴い、個人情報の取り扱いについて注目されるようになったなか、幼稚園や小学校で子どもたちがつける名札の着用も廃止になっているところが増えています。

廃止にはせずとも学校の中でだけ名札をつけて、下校する際は学校に置いて帰るという方法を取り入れている小学校もあります。

登下校中、子どもたちの名前がオープンになっていることから個人情報が無防備に開示されている状態であると判断され、廃止または学校に保管するという流れになっているのです。

家庭訪問

先生が家に来る日ということで、子どもの頃はそわそわした記憶がありますが、今では家庭訪問を廃止する学校が増えてきています。

家庭訪問があったとしても、玄関先で軽く話して終了というスタイルの学校もありますし、住んでいる家の場所と住環境を目視で確認だけする学校もあります。

もともと家庭訪問は、緊急時にすぐに対応できるよう子供の居宅を確認するというのが目的でした。

ところが現在では連絡手段が数多くある中でわざわざ子供の居宅を訪問することが少なくなり、自宅の場所が知られてしまうといった保護者の思いも含まれているように感じられます。

合わせて、学校側は住所を預かることになるため、管理方法などに厳重に注意する必要が出てきます。

このような背景から、最近では家庭訪問もなくなる学校が増えているのです。

学校で個人情報を扱う際に注意すべきこと

学校での個人情報の取り扱い

学校現場では、子供の氏名や住所はもちろん、その他一人ひとりに関する個人情報を数多く扱っています。

時折ニュースで個人情報が漏れてしまったという話題を目にしますが、学校においても個人情報の扱いには細心の注意が必要です。

ここでは、学校で個人情報を扱う際にどのようなことに注意すべきなのか考えていきます。

先生が自宅に資料を持ち帰ることは極力避ける

学校の先生は、自宅に資料を持ち帰って仕事をする時間外労働の時間があるといいます。

しかし、自宅に持ち帰って仕事をするという際に児童や生徒の個人情報に関する資料がある場合、情報の紛失や漏洩に注意しなければなりません。

過去に、学力調査の個人票1クラス分を紛失した、紛失した情報が第三者により公表されてしまったという事案が発生しました。

児童や生徒の氏名、学校名、テストの答案や性格など個人に関する情報が紛失・漏洩してしまったのです。

先生が自宅に仕事を持ち帰るケースがあるなか、持ち帰る資料の中に個人情報が含まれる場合は極力持ち帰ることを避けるようにしましょう。

家に持ち帰って仕事をする必要があるというときは、個人情報が含まれない内容のものに限定するなど気を付けるべきです。

学校内においても個人情報にまつわる資料は鍵つきの場所に保管する

学校には、子供たちに関する個人情報が数多く保管されています。

学校内で保管している個人情報が紛失する事態も想定されるため、保管場所をきちんと決めておくことが大切です。

保管場所を決めると同時に、個人情報に関する資料は鍵のついた場所に保管するようにしましょう。

誰もが開けて確認できないように厳重に鍵をかけて保管することで、個人情報の紛失・漏洩を防ぐことができます。

職員全体で保管する場所や鍵の状態について共有し、みんなで預かっている子供たちの個人情報を保護することが大切です。

パソコンや周辺機器の紛失

学校内にパソコンやタブレットなどの情報機器が整備されるようになった関係で、パソコン周辺機器の紛失も起きています。

個人情報は、紙の書類だけでなくUSBメモリーに含まれることもあるなか、USBメモリーを紛失してしまったという事案が発生しました。

メモリーの中には生徒指導に関する記録や修学旅行の参加者名、写真などの個人情報が含まれていたといいます。

小さくて持ち運びしやすいUSBメモリーですが、うっかり紛失してしまった際に気づくのに遅れる可能性があり、個人情報の漏洩につながる恐れがあります。

パソコンを使って作業を行なったり個人情報を保管する機会が増えるなかで、より一層個人情報の取り扱いについて再確認する必要があるといえるでしょう。

ネットワークのセキュリティ強化を行なう

子供たちも一人一台タブレットを持つ時代になり、情報化社会が進んでいることがわかります。

教育現場でパソコンやタブレットを使用するという点から、ネットワークの整備も進められてきました。

学習系のネットワークだけでなく、成績管理などを行なう校務ネットワークも構築されるようになり、そのなかには多くの個人情報が含まれています。

そのような変化に伴って、以前とは異なる情報紛失や漏洩のトラブルが起きている傾向にあります。

ある県立学校では、学校教育ネットワークへの不正アクセスが行なわれ、大量の個人情報が漏洩してしまいました。

生徒や保護者、教職員の氏名・住所、電話番号など様々な個人情報が漏れてしまったのです。

情報化が進み、機器を使う場が多くなってきていることから、情報漏洩の内容や手口も変わってきています。

学校現場における個人情報保護法を理解し個人情報の管理方法を見直そう

個人情報保護法に守られる小学生

学校現場で名札や家庭訪問などがなくなってきている背景には、個人情報保護法が関係していると考えられます。

合わせて、学校での個人情報の管理方法について見直す機会ととらえることもできるでしょう。

ネットワークの構築が進み、今までとは異なる方法で個人情報を保管することも増えてきました。

個人情報保護法という法律に加え学校での管理方法を見直して、子供と保護者が安心して過ごせる学校現場にしていきたいものです。

学校現場での個人情報の取り扱いに関するトラブルのことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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この記事の監修者

大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
学校現場での個人情報の取り扱いに関することなら、どうぞお気軽にご相談ください。