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保育士の労働時間管理できていますか?幼稚園・保育所での労働時間管理が重要な理由

労働時間管理された保育士

「保育士の労働時間を把握できていない」

「どのような勤務形態がベストなのかわからない」

「勤務時間や業務内容、給与の支払いなどのトラブルを避けたい」

保育園や幼稚園を経営するなかで、このような問題を抱えている方はいませんか?

保育業務に加えて事務作業や行事の準備など、仕事内容が多岐にわたることで労働時間が長くなる傾向にあるのが保育士の仕事です。

給与が低い、労働時間が長すぎるなどの理由で離職する人が増える影響で、現場の保育士には大きな負担がかかっています。

今回は保育士の労働時間管理について、経営者として把握しておくべきことからトラブルへと発展しないためのポイントなどをまとめました。

なぜ幼稚園や保育園の労働時間管理が難しいのか

忙しい保育士

幼稚園や保育園では労働時間の管理が難しいとされています。

その理由には以下の2点が挙げられます。

慢性的な長時間労働

保育士の労働時間はとても長く、日々残業をしている人が多いため長時間労働が慢性化しているのが現実です。

たとえば認定保育園の開園時間は標準保育に延長時間が加わり、ほぼ半日開園しているところもあります。

保育士は交代制で勤務するところが一般的ですが、人手不足や事務作業などの業務もあるため労働時間が長くなる傾向にあるのです。

その他、保護者への対応や行事ごとの準備などもあり、定時で帰ることができる保育士は少ないです。

このように保育園や幼稚園では保育士の長時間労働が慢性化しているのです。

業界として人材不足

保育士の労働時間管理が難しくなっている理由には、業界全体で人手が不足していることも挙げられます。

少子化対策の影響で全国に保育園の数が増えてきており、それに伴って必要とされる保育士の数も増加しているのです。

その反面、保育士の平均賃金は年額約250万円程度ととても低くなっているためなり手が少ないのが現状です。

このような背景から保育士の数が不足しており、現在保育士として働いている人への負担が大きくなっています。

保育園や幼稚園での働き方パターン

働き方が違う保育士

保育士の労働時間について考えるときに実際の労働状況の他、どのような働き方があるのかを理解しておく必要があります。

保育園や幼稚園では、主に以下の2種類の働き方があります。

シフト制勤務

シフト制勤務とは、1日8時間、週休2日といったようにシフトで勤務体制を組んでいく働き方です。

保育園や幼稚園では開園時間が半日ほどと長くなるため、早番・中番・遅番といった交代制を導入している園が多くなっています。

4交代制や5交代制を導入している園もあります。

固定時間勤務

固定時間勤務は、「9時~17時」といったように時間帯をあらかじめ決めた上で勤務する働き方です。

働く時間帯が決まっているため、お子さんのいる保育士や家事と仕事を両立させたいと考える保育士に選ばれている働き方となっています。

変形労働時間制勤務

1ヵ月や1年といった単位で働き方を決める変形労働時間制勤務という働き方もあります。

1ヵ月単位であれば、週の労働時間が平均40時間になるよう調整したり、多く働いた週があれば翌週は勤務日数を少なくするなどの繁忙期と閑散期に勤務時間の調整が可能です。

また、1年間で週の労働時間が平均40時間以内になるよう調整することもできます。

季節ごとの行事などによって忙しくなる時期が異なるなか、1日7時間の月と1日9時間の月などと勤務時間を調整できるのがポイントです。

保育士が長時間労働になる理由

業務過多で疲れた保育士

保育士の労働時間はとても長いと言われているのは開園時間の問題だけではありません。

ここでは、保育士が長時間労働になってしまう理由についていくつか挙げていきます。

日常的な業務過多

保育士は残業が多いと言われていますが、とにかく日常的な業務が多すぎることが挙げられます。

子どもたちのお世話をするのが保育士の業務ですが、実際には様々な事務作業があります。

保育業務以外の日常的な仕事内容としては、以下のようなものがあります。

  • 連絡帳の記入
  • クラスのお便りを作成
  • 保育日誌の作成

保育園や幼稚園の開園時間中には子どもから目を離すことができないため、上記の事務作業は閉園後に行なうことになります。

子どもたちが帰った後に事務作業を始めることになり、残業が増えてしまうという背景です。

さらに保育士の人手不足が起きている今、一人にかかる事務負担がとても大きくなっているのも問題です。

【合わせて読みたい記事】

保護者からクレームを受けた時どうしたらいい?正しいクレーム対応について解説

会議や研修が多い

保育士の仕事は保育園や幼稚園で子どもたちのお世話をするだけではなく、通常業務を終えた後に会議や研修を行なうことがあります。

クラスや子どもの状況把握のためや、保育士としての技術を高めるためのものであるため、強制参加となっているケースが多いです。

会議や研修は定期的に実施されるので、帰りが遅くなることがあります。

会議や研修については園内で実施されるものだけではなく、外部で実施される研修会などにも出席する機会があります。

園によっては会議などの参加が強制されているものの、サービス残業となっている幼稚園や保育所があることを覚えておきましょう。

行事の準備

保育園や幼稚園というと、運動会や音楽会といった大きな行事に加え、七夕や子供の日などの季節ごとのイベントが計画されています。

イベントや行事ごとに企画書を作成したり打ち合わせを行なったり、必要な道具などを揃えるといった業務が発生します。

通常の保育業務や事務作業と並行して行われることになるため、時期によっては残業が多くなり、場合によっては持ち帰って作業するケースも出てくるのです。

休憩中や持ち帰った仕事は労働時間にカウントされる?

持ち帰り仕事する保育士

保育士の業務内容は、状況によっては休憩しているときや家に持ち帰って作業しなければならないことがあります。

では、休憩中や家に持ち帰って行なう業務については労働時間にカウントされるのでしょうか?

休憩中の業務対応について

園では子どものお昼寝の時間帯を保育士の休憩時間に充てることが一般的です。

しかし現実では多くの保育士が連絡帳の記入や行事の打ち合わせ、なかなか寝ない子や起きてしまった子どものお世話などを行なっています。

労働基準法によると、8時間を超える労働時間になると少なくとも1時間の休憩時間を与えなければなりません。

休憩時間は労働から離れることが保障されていなければならず、休憩中に業務を行なっている保育士の場合は労働時間としてカウントされます。

自宅での業務対応について

続いて、自宅に仕事を持ち帰って作業した場合の労働時間について見ていきます。

事務作業や行事に必要な道具などの作成は家に持ち帰って作業している保育士が多いと言われています。

持ち帰らなければ終わらないということが明らかである場合は、自宅で行なった作業も労働時間に含まれるため念頭に置いておきましょう。

経営者側が意識するべきこと

保育士は保育業務に加えて他の業務も発生してくるため、残業が多くなり長時間労働になるパターンが多いです。

長時間労働になると保育士に大きな負担がかかり、体調不良を訴えたり最終的には休職や離職をすることになります。

保育園や幼稚園を経営する側も、労働時間については日々細かく把握しておく必要があるといえます。

さらに、経営者として以下の点についてもしっかり意識し、保育士が快適に働ける空間を整えていきましょう。

36協定

園の経営者側としてまず確認しておきたいのが36協定です。

「さぶろく協定」と呼び、労働基準法で定められている法定労働時間(1日8時間、1週40時間内)において、労働者に残業をさせる場合には締結を行なわなければならないという協定です。

所轄労働基準監督署へ届出を行なう必要があり、36協定を締結させておけば法定労働時間を超えた残業を行なった際でも法律違反にはなりません。

働き方改革に伴い、2019年以降は罰則も規定されているため細かくルールを調べておくことが大切です。

次のポイントを押さえて、36協定の詳細を確認しておきましょう。

  • 時間外労働時間の限度は月45時間、年360時間
  • 36協定で締結した残業時間を超えた場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる
  • 業務内容を明確にする(残業が発生する理由、勤務形態による業務内容の把握など)

保育園や幼稚園において36協定が重要視されているのは、時間外労働が多く最終的には離職してしまう保育士が多いためです。

休みが取れない、労働時間が長すぎる・・・といった不満を保育士が抱えずに勤務できるよう、保育士の労働環境を改善していくのも経営者の仕事です。

年5日の年次有給休暇の確実な取得の義務化

経営者としては園で働く保育士に積極的に有給を取ってもらいたいです。

しかし、現場で日々忙しく働く保育士にとっては人手不足や業務の多さから有給を取りづらい、取るタイミングがないまま年度終わりが近づいてしまう・・・といった悩みを抱えている場合があります。

有給休暇も取れないまま働きづめとなっている従業員が労働基準監督署に通報するというケースもあり、調査の立ち入りが行なわれることもあるため注意が必要です。

有給休暇は正式名称を「年次有給休暇」といい、休んでいても賃金をもらえるという制度です。

労働基準法によって定められている制度になり、正社員だけでなくパートやアルバイトであっても付与されます。

保育園や幼稚園では年5日の年次有給休暇を確実に取得できるよう、経営者が工夫を行ないましょう。

たとえば、以下のようなシステムを整えることで、保育士は気兼ねせず安心して有給休暇を取得できます。

  • 有給休暇取得計画を立てる・・・年度初めに全員に休暇の希望を出してもらい、シフトに組み込む。
  • 職員の配置を調整・・・保育士が休暇を取った際に誰が業務を代わるのかという体制を整えておく。
  • 特殊な休暇制度の導入・・・1日単位ではなく、1時間単位で休暇を取得できるようにする。保育士にとって仕事とプライベートの両立がしやすくなる。

参照:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています/厚生労働省

勤怠把握を怠った場合の労務リスク

勤怠把握を怠った場合の労務リスク

園を経営する側として保育士の勤怠把握を怠ると、後に様々な労務リスクが発生する可能性が高まります。

どのような労務リスクが起こり得るのかを理解し、トラブルに発展しないよう予防していきましょう。

給与・残業代の未払請求

保育士という仕事は一般的に給与が低く、サービス残業が多いとされています。

時間外に多く働いても給与に反映されていないというケースも実際にあります。

運動会やお遊戯会ともなると土日に開催されることが多いなか、休日出勤であっても手当が支給されないという場合もあるでしょう。

残業代や休日出勤の手当を支払っていないとなると、保育士側から支給を求められることになります。

元々の給与が低く設定されていることも相まって、保育士と経営者側との間でトラブルとなることが想定されます。

保育士一人ひとりがどのような勤務体系でどれくらいの労働時間となっているのかを把握しておくことで、給与や残業代の未払いを防ぐことができます。

変形労働時間制でも時間外手当は発生する

通常、残業というと1日8時間、週40時間を超えた場合を指します。

変形労働時間制に関しては、その日に決めた時間を超えた部分はすべて残業となるため注意しましょう。

事前に時間帯や勤務体系を整えている場合は、その時間帯の残業代は支払う必要がありません。

一方で、1日5時間としているところを1日7時間働いたとなると残業代が発生することになります。

変形労働時間制を導入している園では、経営者が保育士の勤務形態を細かく把握し、本来決めている時間を超えてしまっていないか調べておきましょう。

時間外手当が発生することに気づかず放置しているのは危険です。

労働時間の管理は弁護士に相談することがおすすめ

労務問題に強い弁護士

労働時間は労働管理のなかでも特に重要な項目になり、誤った管理によって保育士の離職や保護者からの園の信用を失ってしまう可能性があります。

園を経営する側は労働時間を把握する義務があり、始業・終業時刻の確認や記録などを日ごろから細かく残しておくことが大事です。

保育の現場では残業が多いというのが現状ですが、この残業代についての管理が行なわれておらず支払いもされていないとなると保育士から訴えられてしまうことがあります。

訴訟から裁判トラブルに発展することも考えられるため、経営者として労働時間を適正に管理することが求められます。

労働時間をはじめとした労務管理については、専門家にお願いするというのも一つの手です。

労務管理に詳しい弁護士に相談すると、アドバイスを受けながら適切な方法で保育士の労働時間を管理していくことができます。

労務にそれほど詳しくない、保育士に訴えられるのは困るし長く働き続けてもらいたいと考えるときは、弁護士に相談してみましょう。

労働時間管理を徹底して労務リスクを失くそう

様々な職種があるなか、労働時間の管理はとても重要です。

特に労働時間が長くなる傾向にある保育士については、経営者が日々職員の労働時間を把握して現場がうまく回せる様に采配して有給休暇の取得を徹底させたり、残業代の未払いを防ぐなどの対策が必要です。

過酷な環境のなかで働き保育士から不満が募り訴訟となることもあるため、日ごろから労働時間の管理は確実にしておきたいです。

労務関連に詳しい人に任せたい、みんなが快適に働ける園を目指したいということであれば弁護士も力になります。

労務に詳しい弁護士に尋ねて、保育士が気持ちよく過ごせる現場を目指していきましょう。

幼稚園や保育所の労働時間管理に関するトラブルのことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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この記事の監修者

大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
幼稚園や保育所の労働時間管理に関することなら、どうぞお気軽にご相談ください。