「近隣住民から部活のときの音や声がうるさいと言われた」
「登下校中の生徒が家の前にゴミを放置したとクレームが来た」
教職員のなかで、近隣住民からのクレームでお悩みの人はいませんか?
学校現場は教職員や生徒の関係だけでなく、近隣住民との関係性についても正しく向き合い、対処することが求められます。
今回は学校に近隣住民からどのようなクレームが来ることがあるのか、学校としての住民への対応の仕方、クレームを未然に防ぐために日常生活のなかで実践できることなどについて解説します。
万が一学校に近隣住民からクレームが来た場合、以下を参考にしながら対処してみてください。
Contents
学校に近隣住民からの苦情?それはもしかしてモンスターレジデントかも
住宅街やマンションに住んでいると近隣住民からの理不尽もしくは自己中心的な意見の苦情が来ることがありますが、そのような人たちのことをモンスターレジデントと呼びます。
学校にクレームを入れてくるモンスターレジデントは、学校や教職員に対して自己中心的で理不尽な要求を行なう特徴があり、学校側としては対応に悩まされることがあります。
学校側に落ち度があるときに近隣住民からクレームが来た場合は、状況を踏まえてきちんと対応することが大切です。
しかし、正当な権利行使の範囲を超えてクレームをしてくる住民もおり、この場合モンスターレジデントと呼ばれるようになりました。
クレームの内容や頻度により教職員が多大なストレスを受けることが問題となっています。
学校に対するモンスターレジデントが増えた背景
学校に対して近隣住民からの苦情が発生するようになった背景には、個人の権利意識の向上が考えられます。
自己中心的な考えにより学校などの教育施設が迷惑施設であると思われ、学校側が悪いと決めつけて無理な要求に発展するという流れです。
モンスターレジデントの具体例
モンスターレジデントと呼ばれる人が増加傾向にある今、実際にはどのような事例が挙がっているのでしょうか?
ここでは、学校側に近隣住民から来た苦情について例をまとめました。
- 吹奏楽部による演奏がうるさいので活動をやめるように要求
- 野球のボールが住宅の方に飛んでくることがあるので危ないから活動をやめてもらいたい
- 登下校中の生徒の話し声がうるさい、家の前を通らない通学路にしてほしい
- チャイムがうるさいから鳴らさないように
- 運動会のときの掛け声やピストルの音などがうるさいので運動会を中止にしてほしい
- 事実無根の内容をインターネット上に公開する
この他にも、実際には近隣住民から学校に対して様々なクレームが来ています。
どれも自分勝手で理不尽な内容であることが伺えます。
近隣住民から学校へ対するクレームは、裁判にまで発展した例もあるので慎重にならなければなりません。
なかでもよくあるのが騒音問題で、実際に以下のような民事事件が発生しました。
エアコンの室外機の騒音に関する事件
とある私立高校の隣地に住んでいる住民が高校で使用しているエアコンの室外機からの騒音がひどいので、室外機の一部を撤去するようにと求めました。
同時に住民は過去及び将来の騒音被害に対する損害賠償を請求しました。
最終的には室外機の撤去には至らなかったものの受忍限度を超えるものとして違法とされ、高校側の対応不足が影響した判決となりました。
学校側は真摯な対応で住民と接する必要があるという点が理解できるケースです。
学校側でできる対応は可能な限り行う必要がある
近隣住民からの苦情が学校に来たら、教職員は迅速かつ正しく対応しなければなりません。
どのようなクレーム内容なのかを確認し、実際に学校でクレーム内容に含まれているような状態が起きたかを調べましょう。
事実関係を押さえた上で近隣住民に状況を説明し謝罪を行なうなど、丁寧かつ迅速な対応が求められます。
学校に落ち度があると認められると不利になってしまうため、学校でできる対応は可能な限り行なうことが大事です。
事前に騒音が発生しそうなときは対策を考える、生徒に注意喚起を行なうなどの対応をとり、学校側はきちんと行動しているということを示せるようにしましょう。
もう少し具体的に、どのような対応ができるか例をいくつかご紹介します。
- 運動会の練習の際は、放送機器の音量に気を付ける
- 大きな声で怒鳴らない
- すぐそばに住宅があるときは見られていると意識して過ごす
- 雑草が学校敷地の外に広がらないよう手入れをする
- 学校の外の落ち葉はこまめに掃除して取り除いておく
- 側溝の砂は定期的に取り除く
- 学校の周りに落ちているゴミを拾う
学校側で対応できる内容の具体例
運動会の練習の際は、放送機器の音量に気を付ける
運動場全体にアナウンスするとき、校舎についているスピーカーを使って放送することが多いです。
このとき、運動場側にだけスピーカーを向けるようにし、いろいろな方向へ放送が行き渡らないようにしましょう。
大きな声で怒鳴らない
大きな怒鳴り声は、話の内容が周りの住民にも聞こえてしまいます。
怒鳴り方や指導方法によっては、住民から非難の声が上がる恐れがあるので気を付けましょう。
すぐそばに住宅があるときは見られていると意識して過ごす
学校の校舎と住宅がすぐそばにある場合、窓の高さが住宅と同じくらいになっていることが多いです。
つまり、家から学校の中の様子がよく見える状態になっています。
住民側はカーテンやブラインドを使って自宅の中が見えないようにしているかもしれませんが、カーテンのすき間からこっそり覗くことができます。
学校と住宅が隣接して建っている場合は、お互いに室内が見えてしまうということを意識しておきましょう。
雑草が学校敷地の外に広がらないよう手入れをする
学校の敷地外側に花壇が設けられていたり、木が植えてあることがあります。
この付近は夏になると雑草が生えやすく、草取りや草刈りが必要になります。
雑草が伸びて私有地や道路にかからないよう、学校の外を歩きながら雑草の管理・手入れを怠らないようにしましょう。
学校の外の落ち葉はこまめに掃除して取り除いておく
秋になると落ち葉がたくさん落ちるという環境の学校もあるでしょう。
落ち葉は風に舞って、周りの敷地内にも飛散してしまいます。
そのため、こまめに落ち葉の掃除をして近隣の住宅に飛んでいかないように気を付けたいです。
側溝の砂は定期的に取り除く
学校の敷地内に側溝があるところも多いでしょう。
側溝は、何もしないでいると砂やゴミ、落ち葉などが溜まります。
側溝の掃除をせずにいると大雨が降った際に汚水があふれるようなことがあり、近隣住民に迷惑がかかる恐れがあります。
年に一回や季節の節目などを利用して、側溝をきれいに掃除しておきましょう。
学校の周りに落ちているゴミを拾う
学校の周りには、気づかないうちにゴミが落ちていることがあります。
生徒が捨てたものでないにしても、空き缶やペットボトル、タバコの吸い殻などのゴミがある場合は、学校側が速やかにゴミを拾いましょう。
学校は掃除していない、あの学校の生徒は道にゴミを捨てる、などと思われてしまう恐れがあるため、学校の周りにも目を向けながら気持ちよく過ごせるよう掃除しておくようにしたいです。
近隣からのクレームに対して学校側の正しい対応
近隣住民からのクレームは誤った対応を取ることによって、ますます住民の不興を買ってしまいます。
近隣住民からのクレームに学校側はどのように対応していけば良いのか、具体的に見ていきましょう。
いち教職員の対応ではなく学校組織として対応する
住民からの苦情が来た場合、いち教職員だけで対応するのではなく学校組織として対応することが重要です。
最初に要求を受けた教職員がすぐに
- 管理職に報告を行なう
- 状況を確認・共有する
- 数人で役割を分担する
組織一体として向き合うことが大切です。
直接苦情を受けた教職員だけで対応すると、教職員が一人で抱え込んでしまいストレスからうつ病を患ってしまう恐れがあります。
精神的にダメージを受けるだけでなく、住民からの勢いなどにより問題の本質をとらえ損ねてしまうこともあるので初動には気を付けたいです。
実際に住民がクレームを言いに学校にやってきた場合は、教職員数人が同席して話を聞くようにしましょう。
このとき、会話内容を録音したりメモに書き留めておくことも忘れないようにしたいです。
万が一裁判にまで発展したときに、証拠として提示することができます。
要求内容を正確に把握
クレーム内容について、住民の声に耳を傾けることは重要ですが、住民の要求をすべて受け入れなければならないというわけではありません。
学校側でできることとできないことを明確にし、できないことは明確に伝えることが重要です。
住民の言い分を聞き取るときは、客観的に事実を確認して受け止める必要があります。
事実を確かめて感情が含まれている部分と区別しながら、言い分と事実とを照らし合わせて整理しましょう。
同じ内容のクレームが複数の住民から寄せられているときは、常識的範囲の正当な要求である可能性が高いです。
このようなときに住民をモンスターレジデント扱いしてはならないため、慎重に対応すべきです。
また要求内容に対して早く物事を片付けようと曖昧な返事や、できないことを約束するのは避けましょう。
安易に要求を受け入れることで、住民からの要求内容がエスカレートする場合があるからです。
早期の段階で弁護士に相談
近隣住民からのクレーム内容によっては、弁護士に相談することができます。
暴言や恐喝、暴行を含むクレームである、無理な要求内容が多すぎるという場合、弁護士に相談することで穏便な解決が期待できます。
学校にとってリスクが大きいクレームだと感じたときは、早い段階で弁護士に相談しましょう。
窓口が弁護士となるため学校側が対応に追われることがなくなり、教職員は本来の業務に時間を充てることができます。
ただし、住民側も弁護士に相談する可能性があるので、そのようなときは弁護士を介して話し合いを行なうようにしたいです。
この場合は住民が感情的になっている場合があるため、弁護士を通じて話し合いを行なうことで冷静に対応できるでしょう。
近隣住民との関係が悪化する前に弁護士に相談しよう
学校では、近隣住民からのクレーム対応に追われることがあります。
一方的で理不尽なものや無理な要求を強いてくるものなど、クレームの内容は様々であり、昨今そのようなクレームが増えています。
学校側は組織が一体となってクレームに対応することを徹底し、住民からのクレーム内容はきちんと記録しておくようにしましょう。
そのうえで解決が難しいと判断した際は、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。
状況を踏まえた上で、最善の方法にて解決できるようサポートいたします。
学校と近隣住民に関するトラブルのことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を
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