今、親の間で増えているといわれるモンスターペアレント、学校側やその関係者にとってなかなか手ごわい相手ともいえるでしょう。
思いもよらない発言や行動が特徴的なモンスターペアレント、日々の生活ではどのように向き合っていけば良いのでしょうか?
モンスターペアレントとはどのような親のことを指すのか、またその特徴や対応策について考えてみましょう。
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モンスターペアレントとは?
モンスターペアレントと聞くと、対応する相手側は身構えてしまうこともあるでしょう。
では、具体的にみるとモンスターペアレントとはどのような親のことを示すのでしょうか?
対応策を見ていく前に、まずはモンスターペアレントの定義や種類、実際にあった事例などからご紹介しましょう。
モンスターペアレントの定義
モンスターペアレントとは、理不尽な要求をする親のことを指しています。
学校側にとっては、クレーマーともいえます。
学校や子供のことを考えての発言や行動であればモンスターペアレントには当たりませんが、明らかに偏った見方や自分の子供中心といった考え方をする親がいる場合、これはモンスターペアレントに該当するといえるでしょう。
普通の親との違いがよくわからない、境界線ってあるの?と思ってしまいますが、言ってくる要求が理不尽かつ非常識であるというのがモンスターペアレントの特徴でもあるのです。
このような特徴があるモンスターペアレント、近年では数が増えてきているとも言われ、ますます教育現場などではトラブルが起こりやすくなっています。
モンスターペアレントのタイプ
理不尽な要求をしてくるのがモンスターペアレントと紹介しましたが、実はその中にもタイプがあります。
自己中心的
モンスターペアレントのなかで多いのが、自己中心的な親です。
すべて自分や自分の子供中心で物事を考え、相手のことを考えようとしないといった特徴があります。
学校の現場では、自分の子供を中心に考えてくれていないと感じたときにクレームをつけてくることが多いです。
感情的になる
感情的になって、子供のことについて気持ちをコントロールできなくなるモンスターペアレントもいます。
周りの話を聞こうとせず、自分の子供がひどい目にあった、相手が悪いと決めつけてしまうケースが多いです。
このとき、自分の意見が正しいと思っている人が多く、話し合って和解しようとしてもなかなかうまくいきません。
過保護な親
過保護な親も、モンスターペアレントのタイプの一つといえます。
必要以上に子供への関心が強く、これはいじめに当たるのでは?成績が上がらないのは学校のせいでは?などいろいろなことが気になったり心配になってしまい、学校にも影響が及ぶというものです。
子供自身が経験して成長していかなければならないようなことに対しても口を挟んでしまう、まして学校や周りの環境が悪いと言い出すのが特徴ともいえます。
子供に対して無関心な親もいる
モンスターペアレントというと我が子が一番という考え方の親が多いように感じられますが、その反対に子供に対して無関心な親も存在します。
親としての役割を果たそうとしない、周りに迷惑をかけるといった行動がみられる場合もあります。
学校から連絡があっても対応しない、子供が危険なことをしていても注意しないなど、無関心な親もモンスターペアレントに含まれるのです。
実際にあったモンスターペアレントの事例
モンスターペアレントといってもいろいろなタイプがあり、そのことは実際にあった事例を見てもよくわかります。
今、学校という場所でどんなことが起きているのか、本当にあった事例から考えてみましょう。
- うちの子だけもっと上のレベルの勉強をさせてほしい(今の学年の勉強は理解できているから)
- 面談や家庭訪問で先生が何を言っても無言、無関心
- 連絡帳に長文が書かれている
- 朝から学校に電話をかけて一方的に話し続ける
- 授業参観で親がおしゃべりしている
- 授業参観のとき、親がガムを噛んでいる
- 担任を変えてほしい
- 子供の席を指定してくる
- 子供の事情で学校行事の変更をしてほしいと言ってくる
- 修学旅行の行先を指定してくる
- クラス替えのとき仲の良い子と一緒にしてもらうよう頼んでくる
- 音楽会で自分の子供にピアノを弾かせろと言う
- 学芸会でなぜ自分の子供が主役じゃないのか、主役にしろと言ってくる
- 授業の進め方や教え方が悪いので成績が上がらない
- 経済的余裕があるにも関わらず給食費を払わない
このように、学校という教育現場では日々様々なことが起きています。
大人としての言動が疑われるような内容もありますが、上記に挙げた内容は本当にあった事例です。
では、モンスターペアレントにどのように対応していけば良いのでしょうか?
次の項目で、詳しく見ていきましょう。
モンスターペアレントへの対応策
モンスターペアレントといえる事例が多く上がってきている今、学校の先生や関係者たちは上手に対応していくことが求められます。
どう対応したらよいのか、モンスターペアレントと向き合っていくなかでの対策を紹介しましょう。
親側の言いたいことをすべて聞く
まずは、親側が言いたいことをすべて聞くことから始めましょう。
学校にクレームをつけてくる親は、言いたいことをすべて吐き出すとストレスが発散され、少しすっきりするはずです。
途中、あまり口を挟むことをせず、最後まで話を聞くようにしましょう。
法律上・教育上のすべきことをそれぞれ明確にする
モンスターペアレントに関するいろいろな事例があるなか、その一つひとつを見ながら法律上・教育上のすべきことを明確にしましょう。
学校が法律上しなければいけないこととは、学校教育法の規定に基づいて判断していきます。
一方、教育上すべきことには学校の裁量があり、できる限り対応していくという現場が多いです。
けんかやいじめ、担任へのクレームなどモンスターペアレントに関する内容はいろいろとあります。
そのなかで法律上・教育上すべきことを考え対応していくことが求められているのです。
要求を断り、あきらめさせる
法律上学校が対処しなければいけないことは、できる限り対応していくというのが基本です。
しかし、保護者の要求がその範疇を超えている場合は、要求を断りあきらめさせることも大切です。
学校がすべて解決しなければならないということはない、先生が時間外に保護者の対応をすることは難しいといった内容を、親側に伝えてみましょう。
それでも親が納得しない場合は、要求を断ることとなります。
モンスターペアレントに関する話のなかで、学校側が折れて保護者の言うことを聞いてしまうケースも少なくありません。
これではますますモンスターペアレントの勢いが増してしまうだけなので、学校側による要求の断りもしっかり行なっていくことが必要です。
学校という組織で対応することが大切
モンスターペアレントからのクレームというと、担任の先生や専用の窓口に最初に話が入ってきます。
その情報を、職員会議などで学校全体に共有することもとても大切です。
担任の先生だけに判断を任せると、モンスターペアレントの勢いに負けて誤った判断をしてしまったり、対応した人が疲弊してしまうというトラブルも生じやすいです。
適切に判断をし、保護者に理解を求める場合はしっかりと学校内で情報を共有しましょう。
話し合いは記録しておく
内容が複雑でどう対処すべきか困ったことになった、論争が激しくなってきそうだというときは、話し合った内容をすべて記録しておきましょう。
メモ帳に書き残したり、ICレコーダーに録音しておく方法などがあります。
発言や事実に相違がないようにするためにも、話し合いは記録しておくことが大事です。
弁護士に相談するという方法もある
モンスターペアレントの件で困っている、どうにか対処策を教えてもらいたい、そんなときは弁護士に相談する方法もあります。
どう判断したら良いかわからない、あまりにひどいモンスターペアレントで困っているというときは、学校側でも内容を共有しつつ、弁護士に相談し法的な判断を下してもらいましょう。
実践例を確認し、現場でも活用できるようにしよう
上記4つの点を踏まえてモンスターペアレントに対応していくことで、学校側も適切に判断していけるようになるでしょう。
そこで、より具体的な実践例を確認し、現場でも活用できるようにしておくと安心です。
担任の変更を要求された場合の対応
まずは保護者と話し合いをし、指導内容や担任の決定に関しては学校の判断によるものであるということを伝えましょう。
保護者から念書の提出を求められたとき
今後同じようなことを繰り返さないようにと保護者が学校側に念書の提出を求めてきたら、教員に落ち度があった場合でも、法律上提出する必要はありません。
よって、断ることができます。
いじめ対策の要求について
自分の子供がいじめられていると強く訴える保護者がいた場合、学校側に調査を求めてくるケースがあります。
- 法律上、いじめの事実について把握し学校の設置者(設置する学校の土地や建物などの財産を所有・管理する学校を直接運営する者)に伝える
- 子供がいじめにより欠席している場合の対処について考える組織を作る
まずはこの2点を行ないます。
調査内容を保護者に伝えた際、もっと調べてほしい、見張りをつけてほしいなどの要求が出てきたら、学校側は断ることができます。
なぜ今モンスターペアレントが増えているのか
モンスターペアレントという言葉が飛び交うようになった今、なぜそのような親が増えているのでしょうか?
その背景についても理解しておくことが大切です。
家庭での過保護化
いわゆる自己中心的な親が多いという印象のモンスターペアレント、子供の成績が悪かった場合など先生のせいにすることが多いです。
自分が悪いのではない、周りが悪いんだという考え方が見られますが、このようになってしまったのは親自身がそのように育てられたからだといえます。
親の孤立
核家族化が進むにつれて近所付き合いも少なくなっていき、子供のことを相談する相手や気軽に話せる相手という存在がいなくなってしまったという親の孤立もモンスターペアレントと深く関係しています。
夫に相談することもできない、家事も仕事も育児もとなると日々疲れ切ってしまう・・・そんな生活を送っているとき、ストレスを溜め込んでしまうばかりです。
そのストレスを発散する先が学校の現場へとなり、モンスターペアレントとなってしまうのです。
教育現場への不信感
いじめが原因による子供の自殺といったニュースを目にすることが増えてきていた今、保護者にとって学校という教育現場に不信感を抱いている人も多いです。
さらに、学校による不祥事などが起きているところもあります。
このような事態から、学校側を信じられず、執拗にクレームをつけてくるようになるのです。
モンスターペアレントの特徴や本質を理解し、正しく対応していくことが大切
モンスターペアレントに苦戦している学校現場の先生方は少なくないでしょう。
実際にどのような事例がありどう解決されたのか、なぜモンスターペアレントが増えたのかという事実などにも目を向け、適切に対応していくようにしましょう。
冷静かつ正しく判断ができるよう、対応策を参考に実践してみてください。
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