「交通事故で足を切断することになった」
「足の切断により今後どうやって生活していけば良いのか不安」
「これからの生活のためにも慰謝料は納得のいく形で受け取りたい」
不慮の交通事故に遭ったとき、事故や怪我の状況によっては足の切断を強いられることがあります。
身体の一部を失うとなると、仕事をはじめ日常生活の様々な場面において、不便さや不甲斐なさを感じることが多くなるはずです。
さらには仕事を続けられなくなる可能性もあります。
交通事故で足を切断した場合、後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
ここでは後遺障害慰謝料について等級の内訳やそれ以外に請求できる賠償金の種類、適正金額などについて詳しく解説します。
Contents
足の切断から考えられる後遺障害等級
交通事故で足を切断することになった場合、後遺障害等級は切断の状況によって変わってきます。
片足か両足か、またどこから切断することになったかで変わってくる後遺障害等級について、詳しく見ていきましょう。
片足か両足かによって後遺障害等級は変わる
交通事故による足の切断では、片足なのか両足なのかで認められる等級が異なります。
両足を切断することになった場合は、1級・2級・4級といった後遺障害等級に該当します。
両足のどの部位を失ったかによって等級と後遺障害慰謝料が変わってくるという仕組みです。
片足を失った際の後遺障害等級は4級・5級・7級に該当し、両足のときと同じくどの部位を失ったかが重要視されます。
足の切断によって決まる後遺障害等級は、片足か両足かで等級が変わることを覚えておきましょう。
股下から切断
股下から切断した場合、以下のように後遺障害等級が認定されるようになっています。
上記で紹介した通り、片足か両足かによって変わってくるため確認しておきましょう。
- 第1級5号・・・両足を膝関節以上で失ったもの
- 第4級5号・・・片足を膝関節以上で失ったもの
膝関節から切断
膝関節から下の部分を切断することになった場合は、次のように後遺障害等級が認められます。
- 第2級4号・・・両足を足関節以上で失ったもの
- 第5級5号・・・片足を足関節以上で失ったもの
足首から切断
交通事故で足を切断するという状況は、膝関節以上や膝関節から下の部分だけでなく足首といったケースをあります。
足首からの切断はリスフラン関節 (中足指節関節)より上の部位と言い表されることもあり、次のような状態を指します。
- 足根骨において切断したもの
- リスフラン関節において中足骨と足根骨とが切断されたもの
足首から切断した際も、両足か片足なのかによって後遺障害等級は変わります。
- 第4級7号・・・両足をリスフラン関節以上で失ったもの
- 第7級8号・・・片足をリスフラン関節以上で失ったもの
交通事故による足切断となった場合の慰謝料と内訳
ここでは足の切断に関する後遺障害慰謝料とその内訳について詳しく説明します。
1級から順に後遺障害の内容や後遺障害慰謝料について記載します。
ここで記載する後遺障害慰謝料は自賠責基準の場合を記していくため、参考にしてみてください。
- 1級5号 両足を膝関節以上で失ったもの・・・1,150万円
- 2級4号 両足を足関節以上で失ったもの・・・998万円
- 4級5号 片足を膝関節以上で失ったもの・・・737万円
- 4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの・・・737万円
- 5級5号 片足を足関節以上で失ったもの・・・618万円
- 7級8号 片足をリスフラン関節以上で失ったもの・・・419万円
慰謝料は、相手から受けた害のある行為に対して生じた精神的苦痛を金額に換算したものです。
民法709条の不法行為に基づいて、賠償金として認められています。
交通事故で足を切断した際の慰謝料には内訳として以下の3つが含まれます。
慰謝料の種類 | 内容 |
---|---|
入通院慰謝料 | 入通院したことによる精神的苦痛に対して支払われます。怪我の部位や状態、症状固定日までの入通院期間に応じて算定されます。 |
後遺症慰謝料 | 後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛に支払われる賠償金です。後遺障害(1級~14級)に応じて支払われる金額が異なります。 |
近親者に対して支払われる近親者慰謝料 | 重度の後遺障害が残った際、本人だけでなく近親者も慰謝料を請求することができます。本人の10~30%の範囲で慰謝料の請求が可能です。 |
足の切断によって後遺障害慰謝料以外に請求できるもの
交通事故による足の切断は適正な後遺障害等級を認めさせる必要があり、それを基に算出された慰謝料はしっかりと請求すべきです。
また、後遺障害慰謝料とは別に請求できる賠償金もあります。
ここでは、慰謝料以外にどのような賠償金を請求することができるのか解説します。
積極損害の場合
積極損害とは、事故によって生じた治療費などに対して支払われる賠償金のことを指します。
積極損害には以下のような費用が請求できます。
治療関係費
治療費では必要な範囲で賠償金が支払われるようになっています。
医師の指示により整体やマッサージに通った場合も、治療関係費として請求することが可能です。
その他、将来の手術費や治療費などの見積もり金額も治療関係費に含めることができます。
将来介護費
怪我の程度によっては将来介護が必要になるケースがあります。
親族やヘルパーによる介護にかかる費用も請求することができます。
ヘルパーなどに依頼した際は全額を、近親者が介護した場合は1日につき8,000円(弁護士基準)を請求できるようになっているので、足の状態により将来介護費もしっかり考えていきましょう。
交通費
通院にかかる交通費も積極損害に当てはまります。
実費相当額の範囲で認められ、タクシーや公共交通機関の料金のことを指します。
自家用車を使って通院したときも、実費相当額を請求できるのがポイントです。
装具代や器具代
交通事故で足を切断した場合、日常生活が今までとは一変します。
義足や車椅子、電動ベッドなど、様々な装具や器具が必要となるでしょう。
このような装具や器具にかかる費用についても、必要な範囲で賠償金として請求することができます。
また、長く使っているうちに新しく器具や装具を作り直す場合にも、賠償金に含めることができるので覚えておきましょう。
家などの改造にかかる費用
足を失った場合、自宅で生活することが今までより難しくなってきます。
車椅子を使った生活になれば、ドアの開口部を広げたり手すりをつけたり、バリアフリー化を行うなど、家全体の改造が必要となってきます。
家などの改造にかかる費用も、必要かつ相当の範囲で認められるようになっています。
雑費
入院によりおむつ代などの日用品が必要になることがあります。
弁護士基準の場合、入院1日につき1,500円程度が雑費として認められているので、確認しておきましょう。
消極損害の場合
消極損害とは、交通事故がなければ得られていたはずの利益に対して支払われる賠償金です。
休業損害
怪我の治癒、または症状が固定するまでの期間、交通事故の怪我により働くことができず、収入が減少したことで発生した損害が休業損害です。
自身が得られなかった収入に対してだけでなく、被害者の介護を行なうために仕事を休んだ場合についても休業損害が認められます。
休業損害は、以下の計算式で算出されます。
日額の基礎収入×休業日数=休業損害
逸失利益
逸失利益は、事故に遭う前までの基礎収入を基本に後遺障害が残ったことでどれだけ労働能力が下がったか、また今後どれくらい労働能力が低下した状態が続くのかをかけ合わせて算出する労働能力喪失率によって決まります。
逸失利益も、休業損害のように計算式をもとに細かい額面を算出していきます。
基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数=逸失利益
後遺障害等級などをもとに計算し、逸失利益の額面が決定されます。
交通事故の被害者になったら知っておきたいポイント
交通事故の被害者になったら、怪我などで身体的・精神的に参っているなか自身で準備・調達しなければならないものがあります。
病院に通院するだけでも大変で仕事もままならないなか、被害者としてすべきことが多々あるのが現実です。
交通事故の被害者として押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。
保険会社から症状固定をする様言われる事がある
交通事故後の保険会社とのやり取りで、症状固定をするように言われることがあります。
まだ病院に通っていて医師からは何も言われていないのに、保険会社側が症状固定としてほしいと要求してくることがあるのです。
保険会社としては、支払う治療費を少しでも減らしたいという思いがあります。
しかし、医師から症状固定と言われるまでは通院してしっかりと治療を受けるべきです。
治療費などの請求書を保管しておくことで示談交渉の際に保険会社に請求することができます。
後遺障害等級認定に必要な書類の種類
交通事故後の生活を少しでも安定させるため、自身の身体の状態に応じて適正な後遺障害等級を受けることが大切です。
一方で、後遺障害等級認定には様々な書類が必要となり、被害者自身ですべてを揃えるのが困難な場合があります。
以下が必要な書類になります。
- 交通事故発生状況報告書
- 交通事故証明書
- 通院交通費明細書
- 医師の診断書(死亡の場合は死亡診断書)
- 休業損害の証明
- 付添看護自認書
- 印鑑証明書
上記は必要書類の一部であり、一つひとつ確実に揃えるためには時間と労力がかかります。
そんなときは交通事故に詳しい弁護士に相談すると、書類のチェックなどを引き受けてくれます。
書類を作るのが面倒、何から始めたら良いかわからないというときは弁護士に相談してみましょう。
交通事故の後すぐに弁護士に相談するべき理由
交通事故で足を切断した際、その後の生活が大きく変わることになります。
大きな怪我により日常生活を思うように過ごせなくなるとなれば、納得のいく形で賠償金を受け取りたいと考える人が多いはずです。
自身で加害者側の保険会社と慰謝料に関するやりとりをした場合、賠償金の額面の少なさに驚いたり、そのせいで今後の生活に支障をきたす場合もあります。
そうなる前に事故後すぐに弁護士に相談するのがおすすめです。
なぜ弁護士に相談すべきなのか、その理由について詳しく解説します。
後遺障害等級を適切に認定してもらうことができる
交通事故による足の切断はその後の生活に大きな影響を及ぼすため、状況に応じて適切な賠償金を受け取りたいです。
足の切断による後遺障害等級は4級から1級まで、大きな幅があります。
そのなかで適切な後遺障害等級を認めてもらう必要があるため、交通事故後の後遺障害に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。
等級によって変わる賠償金の額ですが、弁護士基準で考えたときが一番高額になるのも事実です。
後遺障害等級に不安や不満を感じているときは、速やかに弁護士に相談しましょう。
以下に弁護士基準による後遺障害慰謝料を記載するので、参考にしてみてください。
後遺障害等級 | 慰謝料 |
---|---|
1級 | 2,800万円 |
2級 | 2,370万円 |
4級 | 1,670万円 |
5級 | 1,400万円 |
7級 | 1,000万円 |
最初に紹介した自賠責基準による賠償額より、はるかに高い金額が設定されていることがわかります。
事故後の生活を保障してもらうためにも、弁護士基準による賠償額を受け取れるようにしたいです。
適切な賠償金を受け取ることができる
後遺障害等級によって異なる賠償額ですが、上記で説明した通り弁護士基準で計算されたものが最も高額になります。
加害者側の保険会社から提示される金額は、弁護士基準を大きく下回ることが多いです。
後遺障害慰謝料が弁護士基準により大幅に増額されるだけでなく、逸失利益も請求することができます。
保険会社から賠償金の額を提示されたときは、弁護士にも相談して適切な額を算出してもらいましょう。
弁護士費用特約を活用できる
弁護士に相談するとなると費用が発生してしまう、高額だったら支払えない・・・と不安に感じる人も多いでしょう。
しかし弁護士費用特約という保険を活用すれば、自己負担なしで交通事故について弁護士に相談することができるのです。
加害者側との交渉をしてもらいたいときなどに弁護士に相談でき、その際にかかった費用を保険会社が支払ってくれるという仕組みです。
保険金額の上限は300万円と決められていることがほとんどなので、この金額の範囲内であれば自身で負担する必要はありません。
弁護士費用特約については自動車保険の契約者だけでなく、家族や同乗者も使用できます。
交通事故による足の切断は弁護士に相談して納得のいく慰謝料を受け取ろう
交通事故により足を失ったら、これまで続けていた仕事ができなくなったり、ひとの手助けなしでは生活できなくなることがあります。
これから先の人生において不安が募ることでしょう。
そんなときは弁護士に相談して、適切な後遺障害等級と慰謝料を認めてもらえるようにしましょう。
どの基準で賠償金が確定するかによって、受け取れる額面に大きな差があります。
事故後、少しでも安心して過ごせるよう、交通事故に詳しい弁護士に相談してみましょう。
交通事故による足切断時の慰謝料に関するトラブルのことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を
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