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雇用契約書の必要性、ないとどうなる?会社のメリットとデメリット、作成ポイントを解説

雇用契約書の必要性、ないとどうなる?会社のメリットとデメリット、作成ポイントを解説

企業と従業員とで交わす雇用契約書、用意が整っていることでより安心して会社の経営に専念できます。
一方、設立間もない会社については、まだ雇用契約書が整備されていないところもあるでしょう。
雇用契約書は、従業員からの信頼を得るためにも大切なものです。
ない場合、企業の発展や勤務に関する取り決めなどについてトラブルも起きかねません。
そんな雇用契約書について、今回は詳しく解説していきます。
雇用契約書がない場合はどうなるのか、会社にとってのメリットやデメリット、作成する際のポイントなどについてもみていきます。

Contents

雇用契約書は企業が労働条件を明示する際に必要なもの

雇用契約書は企業が労働条件を明示する際に必要なもの

企業は、雇用契約書をもって従業員に労働条件を明示することが必要です。
業務内容や就業場所、勤務時間など全部で14の項目が記載された雇用契約書を交付するが求められています。
14の項目については、具体的に以下のような内容となっています。

  • 労働契約の期間
  • 契約の更新が必要な場合、その基準について
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 始業時刻、終業時刻
  • 労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間
  • 休日
  • 休暇
  • 交替制勤務の場合の取り決めについて
  • 賃金の決定や計算方法
  • 賃金の支払い方法
  • 賃金の締め日や支払いの期日
  • 退職や解雇に関する内容

雇用契約書に関して、必ず用意しなければならないという法律はありません。
雇用契約書は雇用者と労働者の両方が署名・捺印するものですが、労働条件通知書や雇用通知書といったように、雇用者側が労働者に条件を提示する書類であっても問題ないとされています。
雇用契約書や労働条件通知者など、どの種類の書類を用意するにあたっても、労働条件の提示をすることは義務づけられています。
正社員ではなくパートやアルバイトであっても、労働条件を書面にて明示する義務があります。
上記14項目を明記する必要があり、それに加えて新たに以下の4項目についても記載することが必要です。

  • 退職金の有無
  • 賞与の有無
  • 昇給の有無
  • 短時間労働者の雇用管理改善などに関する相談窓口

雇用契約書がない場合はどうなる?

法律上、作成が義務付けられていない雇用契約書ですが、ない場合はどうなるのでしょうか?
雇用契約書の代わりに労働条件通知書や雇用通知書でも良いと記載しましたが、それらの書類もない場合は労働基準法第15条1項の書面での明示義務に反するとして、企業側に30万円以下の罰金が科されます。
また、会社と従業員側でトラブルが起こった際に、従業員側が労働基準監督署で「経営者側からは〇〇と言われていた」と主張されてしまうと、雇用契約書がない場合は従業員側の主張が認められてしまいます。
違反によって従業員から数百万円単位のお金を請求された事例も多くあり、経営者側が書類送検されるという事例も起きています。
そして、雇用契約書を整備していない場合は雇用関係の助成金をもらうこともできません。
企業側としては安定して経営していくためにも用意しておくと安心な書面です。
雇用に関するトラブルが発生したとき、雇用契約書があることで適切に対処できるという点も重要です。

雇用契約書のデメリット

雇用契約書のデメリット

雇用契約書を整備していないことで、トラブルが起きたとき問題にぶつかってしまいます。
雇用契約書のデメリットについても把握しておきましょう。

従業員からの信頼を得ることができない

雇用契約書がない場合、従業員から信頼を得ることができない点が大きなデメリットといえます。
労働条件などが曖昧で詳細がわからないと、従業員は不安や不満を感じ、継続して勤務することができなくなります。
従業員側のなかには、不満などを口に出すのが難しく、悩みを抱えたまま過ごしている人もいるかもしれません。
その結果、離職者の増加や労務トラブルを招く恐れもあります。

雇用契約書の目的について

義務付けられてはいないものの、ある方が好ましいとされている雇用契約書。
あらためてどのような目的で作成されるのか見ていきます。

雇用主を明確にする

雇用契約書は、雇用主を明確にするという目的があります。
雇用主が明確になることで、労働するうえで発生したトラブルに対して、雇用契約書に記載されている責任者が責任を持って対処する必要が出てきます。

労働時間や休日など法律上決められているルールを企業に守らせる

労働時間や休日、休暇などについては、法律上決められたルールがあります。
労働時間は1日8時間、週に40時間以内でなければならない決まりがあり、少なくとも週に1回の休日を与えるようにと労働基準法にて定められています。
労働基準法で決められている事項があっても、雇用契約書が交わされていない場合は不明確になりがちです。
労働時間がはっきりとわからない、残業の時間が増えていく、休日が少ない・・・など、会社としての問題も浮上し、従業員にとっても不満が募っていくばかりです。
企業と従業員が安心して快適に働けるよう、雇用契約書で労働に関するルールを決めることが大切なのです。
雇用契約書があることで、企業もそれに則り経営をしていく流れになります。

賃金を明確にする

雇用契約書は、賃金を明確にする目的もあります。
従業員からすると最も大事な点ともいえ、書面上の取り決めがあることで安心して働き続けることができます。
書面にて金額の詳細や支払いの時期などが記載されていると、従業員もまじめに勤務にあたってくれるでしょう。
雇用契約書がないと、金額が曖昧になったり、支払いの時期がはっきりしていないなど企業の都合に合わせて調整が行なわれるという事態も起こりがちです。
トラブルなく、企業と従業員がお互い快適に働けるようにするためにも雇用契約書は大事なのです。

雇用契約書がないことで起こりがちなトラブル

雇用契約書がないことで起こりがちなトラブル

雇用契約書の必要性、メリット、目的などについてみていくなかで、会社と従業員とがお互いに快適に働くためには雇用契約書が必要であることがわかります。
雇用契約書がないことで様々なトラブルに発展する場合もあり、会社も業務内容に加え対応に追われることになります。
実際に起こりがちなトラブルについて、いくつか紹介します。

労働条件が求人情報と実際とで異なることがある

雇用契約書がないことで起こるトラブルのうち、最も多いとされているのが労働条件の違いです。
求人情報に掲載されていた内容と、実際の労働条件が異なるということが実際に起きています。
従業員となった者にとっては、不満が残るまま業務にあたることになるでしょう。
しかし、雇用契約書があることで、記載されている労働条件と異なった場合従業員は訴えることができます。
労働条件については認識に違いが生じやすい内容もあるため、会社と従業員との間で雇用契約書を交わしておくことが重要なのです。

就業規則が企業に有利になっている

雇用契約書のデメリットのところで、業務内容や試用期間などのルールが不明確で従業員からの信頼を得られなくなると説明しましたが、雇用契約書がない場合就業規則が会社側に有利になることもあるので注意が必要です。
会社側に有利になるよう、就業規則を決めることができてしまうからです。
その結果、違法な就業規則や労働条件によって離職する従業員が増えたり、訴訟問題へと発展してしまう恐れもあるのです。
会社としての評判も大きく下がってしまうため、雇用契約書をもって就業規則に関する取り決めを行なっておくことが大切です。

試用期間の認識にズレが生じる、突然の解雇

雇用契約書がない場合、会社と従業員との間で試用期間の認識にズレが生じることもあります。
一般的に、雇用契約書や労働条件通知書などには、試用期間の有無や期間についても記載されています。
雇用契約書がなければ試用期間に関する内容も把握できず、実際に働き始めるなかで従業員との認識に違いが生じ、トラブルに発展してしまう可能性も高まります。
また、突然の解雇となった場合にも、会社側と従業員との間で衝突が起こりやすいです。
正当な事由もないなか、会社が一方的に従業員へ解雇を通知することが可能になってしまうのです。
いきなり解雇された従業員は、この先の生活について大きな不安を抱えることとなります。突然の解雇を防ぎ、従業員一人ひとりが安心して働ける会社にしていくためにも、雇用契約書は重要な書類なのです。

雇用契約書のメリット

雇用契約書のメリット

雇用契約書の目的に続いて、整備されていることでのメリットについて確認していきます。
メリット・デメリットの両方を把握しておくことで、雇用契約書の重要性についてより理解することができます。

従業員の意識が向上する

雇用契約書にて労働条件を明らかにすることで、従業員の労働意欲が高まります。
勤務時間や賃金についての取り決めがなされているため、安心して業務に専念できます。
入社する前に入社後の生活を想像することもできるというメリットも挙げられます。

労務トラブルを防止できる

雇用契約書があることで、労務トラブル全般の予防にもつながります。
勤務時間や賃金などに対して企業と従業員とで食い違いが起きた場合にも、雇用契約書をもとに再確認することができるのです。
労務トラブルは、企業の経営に専念していくためにも起こらないのが一番です。
雇用契約書を正しく作成しておくことで回避できるという点も、大きなメリットといえます。

転勤や配置転換のルールが曖昧になる

企業によっては、転勤や配置転換を行なう必要性も出てきます。
この転勤や配置転換のルールに関しても、雇用契約書があるとそれに則って対応が可能です。
しかし雇用契約書がない場合は、従業員にも不満が募り、会社との間でトラブルが発生しやすくなります。
転勤や配置転換に関して細かく決めておき、その旨を雇用契約書に記載しておくことで従業員も安心して働くことができるのです。

試用期間についてのルールが不明確

従業員は、入社後しかるべき試用期間を経て、会社の業務に慣れていきます。
一方、雇用契約書がなく、試用期間についてのルールが作られていない場合は試用期間がない契約であるとみなされます。
その結果、従業員のトレーニングができず、業務にも支障が出てきてしまいます。
従業員の士気も下がるため、企業として成長していきたいと考えるときにも問題が生じてくるでしょう。

雇用契約書がない場合はどうすればいい?作成する際の注意点やポイントについて

雇用契約書がないので今から整備していきたいというとき、具体的な手順について理解しておく必要があります。
合わせて、雇用契約書を作成する際の注意点についても細かく理解し、従業員に安心してもらえるよう作成に取り掛かりましょう。

雇用契約書を作成する際の注意点

雇用契約書を作成するにあたっての注意点について、以下を確認してみてください。

労働者用と雇用者用で合計2部用意する

雇用契約書を作成し、労働者と雇用者との間で契約を交わす場合は合計2部用意する必要があります。
一部は労働者用、もう一部は雇用者用です。
2部ともに、両者の署名と捺印が必要であり、万が一トラブルが起きたときに雇用契約書をもとに解決していくことが可能です。
お互いに、「そんなこと聞いていない、知らなかった」というのを防ぐため、雇用契約書は全部で2部用意しましょう。

雇用形態に合わせて記載内容に気を付ける

雇用契約書は、労働者の雇用形態に合わせて記載内容を整えることも必要です。
労働条件を明確にするためにも、雇用形態ごとに内容を検討していきます。

雇用形態契約内容
正社員の場合会社の就業規則に基づき作成していきます。就業規則と異なる内容について決める場合は、慎重に進めることも大切です。記載する内容について吟味し、お互いが納得のいく形に仕上げられるのが理想となっています。
契約社員の場合契約社員との雇用契約書の場合は、期間の詳細を明記する必要が出てきます。原則として期間の定めがないものを除き、3年を超える期間の締結はしてはならないとされています。基本的な労働条件や就業規則に加え、契約の期間についても記載することが必要です。
パート、アルバイトの場合パートやアルバイトの労働者であっても労働内容や賃金が正社員などと同じ場合、雇用契約書の作成を求められることがあります。その場合にも、きちんと対応できるよう、雇用契約書を用意しておくことが大切です。勤務時間や勤務日数について、会社と労働者との間で食い違いのないよう定めることが会社の役目となります。

試用期間を設ける場合の注意点

多くの会社が、試用期間を設けています。
雇用契約書には試用期間に関する内容も記載しなければならないので、細かい部分について取り決めを行ないましょう。
具体的な試用期間、その後の本採用についても記載し、労働者が安心して働ける環境を作れるよう心がけてみてください。

雇用契約書を作成するにあたってのポイント

雇用契約書に関する注意点の次に、作成するにあたってのポイントについてまとめていきます。
会社で作成することもできますが、会社の労務トラブルなどにスピーディーに対処してくれる顧問弁護士に相談する方法でも作成が可能です。
法律に触れる部分もあるため、より適切な雇用契約書を作成できるよう、お困りの際は顧問弁護士にご相談ください。
作成する際の大まかな流れについては、以下となっています。

1,雇用形態の種類について確認

雇用形態の種類によって、雇用契約書の内容が異なります。
そのため、まずは労働者の雇用形態について確認することから始めます。
正社員、契約社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を確認し、それに基づいて契約書を作成していきます。

2,始業・終業時刻、休憩時間や休日について決める

続いて、始業・終業時刻や休憩などに関する内容も決めていきます。
雇用契約書に記載すべき14項目の中にも含まれている事項であり、労働者に安心して働いてもらうために詳細を決めてまとめていきます。
その際、労働基準法に則り、時刻や休日などについて決めていくことが重要です。

3,テンプレートを参考に自社独自のものに仕上げる

雇用契約書に関しては、テンプレートもいくつか用意されています。
そのテンプレートを元に、自社の業務内容や就業規則に合ったものへと変えていき、仕上げていきます。
トラブルが起きたときに対処できるよう、また労働者が不満を感じることなく働ける環境を作っていくためにも独自の雇用契約書を作っておくと安心です。

雇用契約書の作成でお困りなら弁護士に相談を

雇用契約書は、会社が成長していくため、また労働者が快適に勤務できるよう必要な書類です。
雇用契約書は、テンプレートをもとに自社独自の取り決め事項についてまとめ、仕上げていくのが基本的な流れです。
しかし、いざ作成し始めると、法律が関係してくることもあり難しいと感じてしまうかもしれません。
そんなときは、すでに頼りにしている顧問弁護士、また労務関連に強い弁護士に相談してみてください。
自社に合った内容で雇用契約書を作成し、法律上問題がない内容かどうかを見極めることができます。
弁護士に相談し雇用契約書を作成してもらう際は、労務関連に強いかどうか、自社と同じ業界での経験の有無、自社と性格が合うかなども考慮しながら、信頼できる弁護士を見つけてみてください。

雇用契約書は会社・労働者にとって必要なもの。弁護士の力も借りて自社に合う内容に仕上げよう

雇用契約書は会社・労働者にとって必要なもの。弁護士の力も借りて自社に合う内容に仕上げよう

雇用契約書は、会社が長く続いていくため、労働者が快適に働くために必要なものです。
その雇用契約書には、法律に関する内容も記載され、法律を専門とする弁護士に相談することでより適正な雇用契約書を作成することができます。
顧問弁護士または弁護士に相談し、自社に合う雇用契約書にて会社の経営が順調に進むようにしましょう。

雇用契約書のことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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この記事の監修者

大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
雇用契約書のことなど人事労務問題でお困りごとがございましたら、どんな些細なことでもかまいませんので、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。