今回から児童虐待について触れていきたいと思います。最近も、児童虐待に関するニュースを頻繁に耳にします。そのたび心を痛めている方も多いのではないでしょうか。ただ、この児童虐待という問題は、国家、法律の介入しにくい場面ともいえます。まずもって、家庭内で生じる事柄であるため端緒となる事情が発見できないからという理由もありますが、それに加えて法は家庭に入らずといわれるように、一般社会への規律とはまた別の配慮も必要となるからです。そんなことも頭に置きながら、今回は、児童虐待を受けた児童を保護するための機関を見ていきましょう。
要保護児童
児童虐待に関して対策を講じている法律として、児童福祉法と児童虐待の防止等に関する法律があります。その中で、「保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童」のことを要保護児童と呼んでいます。虐待を受ける児童も、この範疇に含まれてきます。要保護児童を発見した者は、福祉事務所又は児童相談所に通告しなければなりません(児童福祉法25条)。これを端緒として、児童は、一時保護(児童福祉法33条)を経て、児童養護施設へ入所する流れとなります(児童福祉法27条)。
児童相談所
児童相談所は児童福祉法12条に規定されており、都道府県が設置する児童福祉の専門機関であり、その中に一時保護所を設けるところも少なくありません。児童相談所の任務は多岐にわたります。児童福祉に関して関係各機関の調整や、児童や家庭に関する調査、指導、判定、一時保護の決定、入所措置を行う権限など持っています。また、親権喪失、停止等の審判の請求や未成年後見人選任等の請求を行う権限も持っています。児童相談所の相談業務は、虐待に関する相談のみならず、障がいを抱えた児童の相談や不登校やしつけに関する相談、非行の相談など幅広く行われています。
関係機関
児童相談所の他、様々な機関が児童の保護にあたっています。児童福祉審議会、福祉事務所、児童委員、乳児院、児童養護施設、児童自立支援施設、自立援助ホーム、子どもシェルターなどです。また、里親という言葉をたまに耳にすると思いますが、里親も児童保護を目的とする機関の一つです(児童福祉法6条の4)。加えて、要保護児童対策地域協議会が平成16年の児童福祉法改正後、地方公共団体において設置され、これらの関係機関間の情報交換や連携確保を促進しています。