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交通事故で脳に後遺症…診断後の対応は?高次脳機能障害の症状と後遺障害等級の認定を受けるためのポイントを解説

この記事の監修者
大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
交通事故による高次脳機能障害のことでお困りごとがございましたら、どんな些細なことでもかまいませんので、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

高次脳機能障害を負った女性

交通事故のときに受けた衝撃によって、脳に後遺症が残ってしまうこともあります。
通院するなかで医師から言われた言葉や日常生活への支障などを考えると、その後の生活を保障してもらう必要も出てくるでしょう。
今回は、交通事故により高次脳機能障害が現れた場合に適切に保障してもらえるよう、後遺障害等級の認定や請求できるお金について解説します。

 

Contents

交通事故で脳に後遺症?!高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは

交通事故によって通院している際、医師から脳に後遺症が残るかもしれないと言われるとショックを隠しきれません。
ここでは、脳の後遺症のなかで多くなっている高次機能障害について詳しく説明しましょう。

 

交通事故による脳の後遺症、どんな症状が現れる?

交通事故の衝撃により脳に後遺症が残った、そのような場合どんな症状が現れるのでしょうか?
医師の診察を受けるなかで、後遺症として現れることのある症状についても理解しておきましょう。
脳にダメージが加わり後遺症となって残った場合、その症状には以下のようなものが挙げられます。

  • 感覚障害
  • 麻痺
  • 認知障害
  • 人格の変化

脳は身体のなかでも大切な部分であり、ダメージを受けることで今までのように生活できなくなる場合があります。
交通事故の内容や受けた衝撃などによって、その症状には差が出るのが事実です。
なかにはあまり自覚症状もないまま過ごしている人もいますが、のちに大きな障害が残る可能性もあるので注意しなければなりません。
そして、脳に衝撃が加わったという場合は、痛みや怪我に有る無しに関わらずきちんと病院に通うようにしましょう。

 

高次脳機能障害とは?

脳に後遺症が残るということは、日常生活に支障をきたす恐れも十分にあり得ます。
事故で脳が損傷を受けた場合、無事回復するまでに時間がかかることもあるでしょう。
現れる症状によって、仕事に行けなくなる、生活が思うようにできないと感じる日々が続く場合もあります。
このように、脳の後遺症によって仕事や生活などが今までのようにできなくなったしまった状態を高次脳機能障害といいます。
認知障害や人格に変化が現れたら、元通りの生活は難しくなるでしょう。
高次脳機能障害である場合、現れる症状は人によって大きく異なります。
どのような障害が現れることがあるのか、高次脳機能障害の症状についてその一部を以下にご紹介します。

認知障害 物忘れが多くなる、集中できない、適切な判断ができない、計画的に行動したり、周りの人と一緒にうまく過ごすことができないなど
人格の変化 自分を抑えることができず大声を出してしまう、不機嫌になり攻撃的になる、感情をうまくコントロールできない、被害妄想をしたりわがままになる、反社会的な行動をとるなど
半空間無視 実際には左側が見えているにもかかわらず、左側を認識するのが難しくなることが多く、右側にばかり注意が向いてしまう状態
失行症 普段の何気ない動作が難しくなってしまい、ペンの使い方はわかるけれど実際に持って書くことができないなどの症状が現れる

高次脳機能障害のなかでも、目や耳の障害はそれぞれ単独で障害として認められます。
それ以外の症状については神経系の機能障害になり、その症状の状態に合わせて等級が認定されるという仕組みです。
高次脳機能障害は病院で診察を受けた際の画像で確認できないケースも多く、見過ごされやすい特徴があります。
その結果、正しく保障してもらえないこともあるため、交通事故で脳にダメージを負った場合は自身の体調についても細かく見ておくことが大事です。
同時に、周りの人からどのように言われたかもメモしておくと、交通事故によって自身が変わってしまったのかどうかを知る目安にもなります。
また、交通事故によって脳に損傷が起きた場合、高次脳機能障害以外の症状が現れることもあるため確認しておきましょう。
例としては外傷性てんかんや植物状態が挙げられ、状況によっては以前の生活を送れなくなってしまいます。
一瞬の出来事で大きなダメージを負ってしまう可能性がある交通事故、脳に異常が起きた場合は適切な診察を受け、その後の保障について考えましょう。

 

高次脳機能障害の診断について

高次脳機能障害について調べる医師

交通事故に遭った場合、速やかに病院に行き、診察を受けるというのが基本的な流れです。
医師による診断内容によって、高次脳機能障害をはじめとした後遺症が残っているかどうかがわかります。
高次脳機能障害による後遺障害等級の認定を受けるためには、どのような症状が現れているか、医師によって確かに脳が損傷を受けているといえるかどうかが重要となります。
何が原因で高次脳機能障害が残っているのかをはっきりさせる必要があり、脳の画像などを見て正しく判断しなければなりません。
MRIやCTなどによる脳の検査で障害が残っているとわかる、明らかに記憶障害などに異常が現れているときは、高次脳機能障害の認定を受けることができます。
高次脳機能障害であると判断するためには、以下の点を満たしている必要があります。

  • 交通事故により、脳挫傷やくも膜下出血などであると診断された
  • 交通事故後、意識障害が1週間以上続いた、または昏睡や半昏睡状態が6時間以上続いた
  • 初期の脳の画像と比べて、脳室の拡大や縮小がみられた
  • 高次脳機能障害ではないかと思われる症状がみられる

ただし、原因が見られないものの高次脳機能障害に当てはまる症状が出ているといったこともあるでしょう。
このような場合、高次脳機能障害であると認められる可能性は低いです。

 

高次脳機能障害による後遺障害等級の認定基準

脳が損傷を受け高次脳機能障害が残ってしまった場合、後遺障害等級に当てはまるかどうかについて考えましょう。
今までのように仕事や生活ができなくなっているとき、正しく保障してもらう必要があります。
どのように等級が分けられているのか、その詳細について見ていきます。
後遺障害等級には1級~14級まであります。
高次脳機能障害の場合は、このうちの1級、2級、3級、5級、7級、9級のいずれかに該当するケースが多いです。
それぞれの等級について、認定基準を以下に記載します。

1級 日常生活において常に介護が必要、神経系統に障害が残っているため、今までのように働くことができない
2級 神経系統などにおいて障害が残り、日常生活にてトイレや食事などの介護が必要。判断力の低下や情緒不安定といった状態も見られる。
3級 神経系統や精神において障害が残っており、介護は必要ではないが働くことができない
5級 神経系統や精神において障害が残っており、簡単な作業などの仕事以外が難しい。一人での作業が難しいので、その都度指示や人が必要。
7級 神経系統や精神において障害が残っており、簡単な作業などの仕事ならできるが、常に一人で行なうのは難しい。たまに、指示を受けて一人で作業ができることもある。
9級 神経系統や精神において障害が残っており、できる仕事内容に制限がある。

等級に応じて保障してもらえる金額も大きく異なるため、身体の状態から仕事や生活への影響を適切に判断してもらい、認定を受けることが大切です。
適切な認定を受けるためには、多くの資料を集めて保険会社に提出をしなければなりません。
次の項目にて、高次脳機能障害で後遺障害等級の認定を受けるためのポイントをご紹介します。

 

高次脳機能障害で後遺障害等級の認定を受けるためには?

高次脳機能障害と診断されたら、後遺障害等級においてどの等級に当てはまるのかを考えていきます。
このとき、適切に等級の認定を受けられるよう、準備しておくものがあります。
以下のものを用意して、等級認定を正しく受けられるようにしましょう。

  • 脳に障害が残っていることを示す画像
  • 高次脳機能障害を受けた人の状況について、周りが記録などをしておく
  • 医師に後遺障害診断書を書いてもらう

もう少し詳しく、後遺障害等級の認定を受ける際に必要なものについて調べてみましょう。

 

脳に障害が残っていることを示す画像

高次脳機能障害の証明

高次脳機能障害の疑いがあるとなったとき、まずは病院で検査を受けます。
受診先は、脳神経外科や神経内科、整形外科といった科へ行きましょう。
どの科に行けば良いかわからない場合は、総合病院に行って尋ねてみてください。
診察で、交通事故でどのような傷を受けたのか、MRIやCT、脳波検査などによって判断していきます。
それと同時に、身体に現れている症状についても照らし合わせていきます。
高次脳機能障害かもしれないと思われる症状がみられたら、忘れないようメモしておくことも大切です。
診断を行なう際に、役立てることができるからです。

 

高次脳機能障害を受けた人の状況について、周りが記録などをしておく

高次脳機能障害によって現れる症状のなかには、自身が気づかないものもあります。
人格や性格が変わってしまったという点については、自覚するのが難しいです。
そこで、事故前と事故後とでどんなふうに変わったかを、周りの人がよく観察しておきましょう。
変わってしまった内容をメモしておくと、後遺障害等級の認定を受ける際の材料となります。

 

医師に後遺障害診断書を書いてもらう

病院での診察、周りの人による記録などから高次脳機能障害が残ったとわかった場合には、後遺障害診断書を医師に書いてもらいましょう。
後遺障害等級認定を申請する際、医師が書いた後遺障害診断書が必要となります。
一般的に書類審査にて等級が認定されるので、後遺障害診断書はとても大切なものになります。
自覚症状や脳の検査結果、周りの人の記録などを元に、適正な後遺障害診断書を作ってもらいましょう。
後遺障害診断書を提出し等級認定を受けるためには、症状や診断名(病名など)の記載、脳の画像、一定期間意識や記憶障害が現れたという内容を細かく書いてもらうことが重要です。

 

定期的にリハビリにも通う

病院での診察や検査を定期的に受けると同時に、リハビリにも通いましょう。
リハビリに通っていることで、高次脳機能障害であると示す証拠の一つになります。
また元の生活に戻れるように、また少しでも快適に生活できるようにという思いで、リハビリを続ける人が多いはずです。
リハビリにきちんと通っているということは、後遺障害等級の認定を受ける際にもとても大事な点となるのです。

 

後遺障害等級に関する疑問について

高次脳機能障害について疑問を持つ男性

後遺障害等級は、適切に診断したうえで受け取ることができるお金です。
交通事故で大きな障害が残った場合、保障として受け取れる金額も大きくなります。
そんななか、後遺障害等級について考えるとき、いくつかの疑問が生じるのも事実でしょう。ここでは、後遺障害等級に関する疑問について解説します。

 

既往症がある場合はどうなる?

事故前か事故後、どちらのタイミングで発症したかわからない脳梗塞などの病気に関しては、争いになることもあります。
このとき、事故前と事故後の画像を比べたり、症状がどのように変化したかを見ていきます。
細かい部分にも注目しながら、事故と関係があるのかどうかを立証していくことになるのです。

 

事故後、時間が経ってから発症した場合は?

脳の状態によっては、事故後すぐに症状が現れるとは限りません。
しかし、高次脳機能障害で後遺障害等級を受けるためには事故と症状との因果関係をはっきりさせる必要があります。
事故から症状が現れるまでにかかった期間、医師の診察を受けながら、医学的にありうるのかを考えたうえで判断していくという流れです。
その際に頭部を打ち付けたということであれば、医師に伝えて診てもらいましょう。
診断書にも、その旨を書いてもらうようお願いしましょう。
また、できるだけ早く脳の画像を撮ってもらうのも忘れないようにしてください。
画像からわかることもたくさんあります。
医師に勧められた検査を受けて、脳に異常が起きているか診察してもらいましょう。

 

後遺障害等級の審査にかかる期間はどれぐらい?

後遺障害等級の申請をしてから結果がわかるまで、おおよその期間は30日以内となっています。
しかし、場合によっては結果が出るまでに数ヵ月から数年かかっているケースもあります。
高次脳機能障害は事故後、時間が経過するとともに症状が軽減することもあるので、経過観察としてしばらくの期間様子を見ると判断されるからです。

 

後遺障害等級と認められる確率は何パーセント?

後遺障害等級の申請が認められるケースは、実はとても低いのが現状です。
その認定率は5%ほどと、数字を見るだけでも難しいことがわかります。
等級が上がるにつれて認定率は低くなり、実際には後遺障害で悩まされているのに申請をせずに過ごしている人もいるでしょう。
自分一人ではどうしたらいいかわからないときは、弁護士に相談する人も多いです。

 

脳に後遺症が残ったとき請求できるお金について

交通事故により高次脳機能障害であるとわかった場合には、適切に後遺障害等級の認定を受け保障してもらうことが重要です。
交通事故の内容や被害者の容態などによって、受け取れるお金の金額も様々です。
そこでここでは、脳に後遺症が残ったときに請求できるお金の種類について見ていきます。

【合わせて読みたい記事】

交通事故の慰謝料はどうやって請求するの?慰謝料請求の流れと慰謝料相場について解説

 

治療費、交通費

交通事故に遭い病院へ通院した際の治療費、病院に行くまでにかかった交通費を請求することができます。
高次脳機能障害であると診断されるまでに、何度か病院に行き、検査を受けるでしょう。
その際にかかった費用を請求できるのです。

 

休業損害

事故によって仕事ができず、得られなかった給料について、一定の金額を請求できます。
休業損害については、家事に従事している主婦や主夫も、一定の金額を請求できるようになっています。
学生や無職の人は受け取れない損害賠償にはなりますが、就職先が決まっている、もしくは近いうちに就職できたであろうと考える場合には適用されます。
休業損害は、治療を開始した日から治癒、または症状固定までの期間を指しているのも覚えておきましょう。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害等級の認定を受けることができたら、等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取れます。
それぞれの等級において、弁護士基準の後遺障害慰謝料がいくらくらいなのか、以下にまとめました。

1級 2,800万円
2級 2,370万円
3級 1,990万円
5級 1,400万円
7級 1,000万円
9級 690万円

慰謝料の金額は、どこの基準で決定するかによって受け取れる額が変わってきます。
上記は最も高い額を受け取れる弁護士基準にて挙げたものですが、保険会社基準となるともう少し金額が下がってしまうのが現実です。

 

逸失利益

交通事故により後遺障害が残り、以前のように仕事ができなくなった、このような場合に受け取れるのが逸失利益です。
交通事故で死亡してしまった際にも、この先得られたであろう収入がなくなるわけなので、逸失利益を受け取ることができます。
逸失利益の金額は、後遺障害等級に応じて定められたものが表になっているため、その表をもとに算出します。

 

損害賠償請求権は消滅時効にも注意が必要

後遺障害等級の審査は、おおよその期間が30日以内となっているものの、ケースによっては数年かかることもあります。
審査に時間がかかった場合、損害賠償請求権の消滅時効にも注意しなければなりません。
消滅時効が過ぎると、慰謝料などの賠償金を支払ってもらえなくなるのです。
事故が発生した時期、損害賠償の内容などから時効も異なってくるので、後遺障害等級の審査に入るときに合わせて確認しておくと安心です。

 

将来介護費が受け取れない可能性もあることを理解しておこう

交通事故で高次脳機能障害が残った場合、その先の将来についても心配な要素が増えます。
元通りの生活を送れなくなり、介護が必要になることもあるでしょう。
その際に発生してくるのが、介護費です。
この介護費については交通事故の加害者に支払ってもらうべきですが、加害者が拒否することもあり、スムーズにいかない場合もあるのです。
示談にて将来の介護費について話がまとまらなければ裁判になる可能性も生まれ、被害者への負担も更に大きくなります。
その場合は、裁判になる前に加害者と話し合って結論が出せるよう、弁護士にサポートを依頼する人が多いです。

 

高次脳機能障害による後遺障害等級の認定で実際にあった事例

損害賠償金アップに喜ぶ男性

高次脳機能障害があると医師から伝えられたら、後遺障害等級を認定してもらえるよう申請し、しかるべき等級にて適切な損害賠償を受け取るようにしたいです。
そこで、ここでは弁護士に相談した結果、等級が上がったり適切な損害賠償金を受け取ることができたという事例についてご紹介します。

 

裁判にて話し合い、約8,000万円の示談金が2憶円近く増額

小学生が横断歩道を渡っているところ車に追突され、脳挫傷やくも膜下出血などの重傷を負いました。
その後治療を続けたものの高次脳機能障害をはじめとした様々な障害が残ってしまい、後遺障害等級では1級の認定を受けました。
相手方の保険会社からは8,000万円ほどの損害賠償金について相談されましたが、この額が妥当かどうか不安になり弁護士に尋ねられました。
その後、将来の介護費用や現在の介護状況などについて裁判にて訴え、裁判所で認めてもらうことができ、結果的に2憶円近くの賠償金を受け取ることができました。

 

後遺障害等級の認定が変わり、結果的に10倍以上の賠償金が成立

交通事故に遭われた、子供を持つ女性の事例です。
後遺障害等級で12級とされたものの、職場や日ごろの家事などで困ることが増え、今までのように生活できなくなったという話でした。
その後将来のことが不安になり、自身の後遺障害等級の認定や賠償金は妥当なのか、弁護士に相談されました。
再度病院にて細かい検査を受けてもらい、書類を用意し、後遺障害異議申し立てを行ないました。
その結果、等級が12級から9級へと変わり、賠償金についても10倍以上の金額を受け取ることができました。

 

後遺障害等級の認定について疑問を感じられたら、ぜひ弁護士にご相談を

交通事故で高次脳機能障害が残った場合、後遺障害等級の認定を受けて適切な賠償金を受け取る必要があります。
日常生活における変化、医師の診察など揃えるべき資料はたくさんあるものの、将来のことについて不安を感じた場合は早急に動き出すのが大事です。
後遺障害等級の認定について疑問や不満を抱いている方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
確かな証拠のもと、適切な後遺障害等級の認定を受けられるようサポートいたします。

【当事務所の交通事故サポート】

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