「交通事故にあって以来、ずっと耳の調子がおかしいのだけど、これって誰にどのくらい請求できるのだろう。」
「交通事故にあってから耳鼻科で治療を続けていて、担当医から症状固定と言われたが、どうしたらいいのかわからない。」
そんな不安を抱えている人がいるかもしれません。
聴力に障害があると今後の仕事への支障や、日常生活においても様々な不便を強いられるでしょう。
自身の生涯を適正に評価してもらい、適正に補償してほしいと思うのは当然のことです。
ただし、耳に関する後遺障害にもいくつかの種類があります。
それぞれ障害の内容とその程度によって後遺障害等級というものが定められており、この等級によって補償の額なども変わってきます。
ここでは、難聴に関する耳の障害を中心に、耳に関する主な障害の内容や後遺障害の等級について詳しく解説します。
後遺障害の補償請求をされる際の参考にしてください。
Contents
耳の構造
耳に関する障害等級の解説をする前に、まずは耳の構造について理解しておきましょう。
耳は、大きく分けて外耳・中耳・内耳の3つ部分からなります。
外耳は、音を集める耳介と外耳道からなり、集めた音を鼓膜へと伝えます。
中耳は、鼓膜と耳小骨からなり、伝わってきた音の振動を増幅させます。
内耳には、蝸牛と三半規管があり、蝸牛では音の振動を脳が理解できる電気信号に変換して聴神経から脳に伝え、三半規管では平衡感覚を司り、身体のバランスを保つといった役割を果たします。
耳に関する主な後遺障害
耳が聞こえない、聞こえにくいという場合でも、難聴といった聴力に関する障害ばかりでなく、様々な他の耳の障害が関係していることがあります。
耳に関する後遺障害として認定されるものには、いくつかの種類があります。
そこで、主な耳に関する後遺障害についてご紹介しましょう。
聴力に関する後遺障害
聴力障害は、音を聞くための機能が障害によって、低下または失われてしまうことを言います。
私たちは音を聞くとき、
- 外耳で音を集める
- 中耳で音の振動を増幅する
- 内耳で音の振動を電気信号に変換する
- 聴神経を通じて脳へ信号を送る
以上のような過程を経ています。
交通事故による外傷でこの過程のどこかが損傷を受けると、音が聞こえにくくなったり、場合によっては全く聞こえなくなったりすることがあるのです。
聴力障害は、日常生活や周囲とのコミュニケーションに支障をきたす可能性の大きい障害です。
耳鳴りの後遺障害
耳鳴りというのは、外部で音が発生していないにもかかわらず、自身では音を感じている状態を指します。
会話が聞き取りにくい、音が気になって集中できない、眠れない、といった形で生活に支障が出やすい障害です。
耳鳴りが発生した場合、それに伴って聴力の低下といった難聴が伴うことがあります。
耳漏の後遺障害
耳漏というのは耳から液体が流れ出てくる状態を指します。
鼓膜の損傷による場合や、中耳炎などの炎症による場合に多いです。
こうした損傷により耳漏が発生し、それに伴って難聴が発生する場合があり、そうした場合には障害等級の認定がされることがあります。
耳介欠損の後遺障害
耳介欠損とは、耳介の一部または全部が失われてしまった状態を指します。
耳介というのは、耳殻とも呼ばれますが、耳たぶや耳の軟骨部分といった部分からなる、耳の外側を形成する一般的に「耳」と呼ばれる部分を指します。
外見に関する審美的な影響も大きいですが、聴力や音の方向感覚といった機能面での影響が発生することもあります。
平衡感覚に関する後遺障害
頭を動かすと平衡感覚が狂い、めまいや吐き気などの症状が発生するのが平衡感覚に関する後遺障害です。
このとき、耳鳴りや難聴といった他の症状を伴うことがあります。
聴力に関する後遺障害等級認定の際の検査
交通事故に遭ってから、
- 耳が聞こえない
- 耳が聞こえにくい
そのような場合に最初に検討することは、聴力に関する後遺障害等級認定です。
聴力の後遺障害等級を認定してもらう際には、純音聴力レベルと明瞭度の数値が問題となります。
純音聴力レベル:異なる周波数の音をどれだけ聞き取れるかを表すもの
明瞭度:会話をどの程度明瞭に聞き取れるかを表すもの
聴力障害の後遺障害等級認定にあたっては、これらに関する検査結果をもとに聴力障害の程度を判定し、聴力障害の後遺障害等級認定がなされることになっています。
そのため、後遺障害等級をより正確に認定してもらうためには、これらについてできるだけ事故から早い時点で、必要な検査を受けておかなければなりません。
それでは実際にはどのような検査をするのか、次に説明します。
標準純音聴力検査
純音聴力レベルを測定するために行われる代表的な検査方法の一つとして、標準純音聴力検査があります。
標準純音聴力検査では、オージオメーターという器具を使って、気導聴力検査と骨導聴力検査という二種類の検査を行います。
オージオメーターでできる検査名 | 目的 |
---|---|
気導聴力検査 | ヘッドホンから様々な音を聞いて、聞こえる音と聞こえない音を調べていく検査 |
骨導聴力検査 | 耳の後ろの骨の部分に振動板を当てて、音を外耳から入れるのではなく、骨を通じて直接内耳に振動を伝える検査。これにより、内耳や聴神経の機能だけを評価することができる |
もし気導聴力検査(ヘッドホンで音を聞く検査)で聞こえが悪くても、骨導聴力検査で正常に聞こえる場合は、外耳や中耳に問題があると判断できます。
反対に、骨導聴力検査でも聞こえが悪い場合は、内耳や聴神経に問題があると判断できるのです。
語音聴力検査
語音聴力検査は、会話がどの程度聞き取れるかを検査するもので、言葉の認識能力を測定します。
数字などが読み上げられ、その音がどのくらい小さな音量まで聞こえるかを検査したり、1音ごとに発せられる言葉をどれくらい聞き取れるかを検査します。
複数回実施し、最も差が小さい平均純音聴力レベルの平均値をとることで等級の判断に役立てます。
聴力に関する後遺障害等級
後遺障害等級は、両耳と片耳の障害で異なる基準が設けられています。
平均純音聴力レベルや最高明瞭度の検査結果に基づいて等級が判定され、その等級に応じて補償額が決まるのです。
まずは両耳の場合の基準から見ていきましょう。
両耳
後遺障害等級認定にあたっては、障害の発生している耳が両耳の場合と片耳の場合とで後遺障害等級の認定基準は分かれています。
まず両耳の場合の聴力障害の等級をまとめたのが、次の表です。
等級 | 障害等級決定の基準 |
---|---|
第4級3号 | 両耳の聴力を失ったもの ・両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの |
第6級3号 | 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの ・両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの |
第6級4号 | 1耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・一耳の平均純音聴力レベルが90dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のもの |
第7級2号 | 両耳の聴力が40cm以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの ・両耳の平均純音聴力レベル70dB以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの |
第7級3号 | 1耳の聴力をまったく失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの ・一耳の平均純音聴力レベル90dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のもの |
第9級7号 | 両耳の聴力が1m以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの ・両耳の平均純音聴力レベル60dB以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの) |
第9級8号 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの ・一耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のもの |
第10級5号 | 両耳の聴力が1m以上の距離では、普通の話声を解することが困難である程度になったもの ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上 ・両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上で、かつ最高明瞭度が70%以下のもの |
第11級5号 | 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの ・両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上のもの |
このように、平均純音聴力レベルの数値と最高明瞭度の数値がどこに当てはまるかが後遺障害等級認定に当たっては重要になります。
両耳に聴力障害がある場合であっても、それぞれの耳の聴力障害のレベルが同じとは限りません。
そこで片方の耳(一耳)の一耳聴力ともう片方の耳(他耳)の一耳聴力の関係に着目し、この判断基準を平均純音聴力レベルと最高明瞭度に着目して表にしたものが次の表です。
《一耳と他耳の聴力の組み合わせによる認定基準》
一耳聴力 | |||||||
90db以上 | 80db以上 | 70db以上 | 60db以上 | 50db以上 | 40db以上 | ||
90db未満 | 80db未満 | 70db未満 | 60db未満 | 50db未満 | |||
一耳聴力 | 90db以上 | 第4級3号 | 第6級3号 | 第6級4号 | 第7級3号 | 第9級8号 | − |
80db以上 | 第6級3号 | 第7級2号 | 第9級7号 | ||||
90db未満 | |||||||
70db以上 | 第6級4号 | 第7級2号 | 第10級4号 | 第11級5号 | |||
80db未満 | |||||||
60db以上 | 第7級3号 | 第9級7号 | |||||
70db未満 | |||||||
50db以上 | 第9級8号 | 第10級4号 | |||||
60db未満 | |||||||
40db以上 | − | 第11級5号 | |||||
50db未満 |
《両耳聴力と最高明瞭度の組み合わせによる認定基準》
両耳聴力 | |||||||
90db以上 | 80db以上 | 70db以上 | 60db以上 | 50db以上 | 40db以上 | ||
90db未満 | 80db未満 | 70db未満 | 60db未満 | 50db未満 | |||
最高明瞭度 | 30%以下 | − | 第4級3号 | 第6級3号 | 第10級5号 | ||
50%以下 | − | − | 第7級2号 | ||||
70%以下 | − | 第9級7号 |
片耳
片方の耳だけに聴力障害がある場合は、また別の基準に従って判断されることになります。
その際の障害等級の決定の基準は、次のようになっています。
等級 | 障害等級決定の基準 |
---|---|
第9級9号 | 1耳の聴力をまったく失ったもの ・一耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの |
第10級6号 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの ・一耳の平均純音聴力レベルが80dB以上90dB未満のもの |
第11級6号 | 1耳の聴力が40cm以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの ・一耳の平均純音聴力レベルが70dB以上80dB未満のもの ・一耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの |
第14級3号 | 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの ・一耳の平均純音聴力レベルが40dB以上70dB未満のもの |
《一耳聴力と最高明瞭度の組み合わせによる認定基準》
一耳聴力 | |||||||
90db以上 | 80db以上 | 70db以上 | 60db以上 | 50db以上 | 40db以上 | ||
90db未満 | 80db未満 | 70db未満 | 60db未満 | 50db未満 | |||
最高明瞭度 | 50%以下 | − | 第11級6号 | − |
耳鳴りの後遺障害等級
耳鳴りは、外部で音が発生していないにもかかわらず、耳や頭の中で音を感じてしまう現象です。
音や大きさには様々なパターンがあり、高音の「キーン」や「ピー」という音が鳴り続ける場合もあれば、低音の「ブーン」や「ゴォー」といった音が鳴る場合もあり人それぞれです。
耳鳴りに関する後遺障害等級決定の基準
耳鳴りに関する後遺障害等級の基準は以下の通りです。
等級 | 障害等級決定の基準 |
---|---|
第12級相当 | 耳鳴りに係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの |
第14級相当 | 難聴に伴い常時耳鳴りのあることが合理的に説明できるもの |
検査方法
耳鳴りの程度を客観的に評価するために、主に3つの検査が行われます。
検査名 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
ピッチ・マッチ検査 | 様々な高さの音を順番に聞かせ、耳鳴りに最も近い音を見つける | 耳鳴りの音の高さ(周波数)を客観的に評価 |
ラウドネス・バランス検査 | 特定した音の音量を調整し、耳鳴りと同じ大きさを特定 | 耳鳴りの大きさを数値化して評価 |
耳鳴りマスキング検査 | 耳鳴りと似た音を外から聞かせ、耳鳴りが消えるかを調べる | 治療方法の選択に活用 |
これら3つの検査を組み合わせることで、患者さんの耳鳴りの特徴を総合的に評価することができます。
耳漏の後遺障害等級
耳漏は鼓膜に穴が開くなどの外傷や中耳炎などの炎症により液体が漏れてくる状態です。
耳漏の後遺障害については、それだけで障害等級表に記載がある訳ではないのですが、以下のような場合には障害等級に該当することがあります。
耳漏の障害等級決定の基準
等級 | 障害等級決定の基準 |
---|---|
第12級相当 | 鼓膜の外傷性穿孔による耳漏について手術的処置を施した場合、聴力障害が後遺障害等級に該当しない程度であっても、常時、耳漏があるもの |
第14級相当 | 外傷による高度の外耳道狭窄で耳漏を伴わないもの |
耳介欠損の後遺障害等級
交通事故により耳介(耳殻)の全部または一部が欠損してしまう場合があります。
耳介は外見上重要であるばかりでなく、音を集めて中耳に伝える機能も担っているため、欠損すると聴覚にも影響を及ぼすことがあります。
耳介欠損の障害等級決定の基準
耳介欠損による後遺障害については、以下になります。
等級 | 障害等級決定の基準 |
---|---|
第12級4号 | 1耳の耳殻(耳介)の大部分を欠損したもの |
平衡感覚の後遺障害等級
耳の平衡感覚の障害は、めまいや立ちくらみ、吐き気などの症状としてあらわれます。
その原因の一つとして、平衡感覚を司る三半規管や前庭といった器官の損傷が挙げられますが、これらの器官がある内耳には聴覚を司る蝸牛もあることから、平衡感覚の後遺障害には難聴が伴うことがあります。
平衡感覚の後遺障害の障害等級決定の基準
平衡感覚の後遺障害については、神経症状の等級が準用されます。
平衡感覚の後遺障害の障害等級決定の基準は次の通りです。
等級 | 障害等級の決定基準 |
---|---|
第3級3号 | 生命の維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高度の失調又は平衡機能障害のために労務に服することができないもの |
第5級2号 | 著しい失調又は平衡機能障害のために、労働能力がきわめて低下し一般平均人の1/4程度しか残されていないもの |
第7級4号 | 中等度の失調又は平衡機能障害のために、労働能力が一般平均人の1/2以下程度に明らかに低下しているもの |
第9級10号 | 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状が強く、かつ、眼振その他平衡機能検査に明らかな異常所見が認められ、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
第12級13号 | 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振その他平衡機能検査に異常所見が認められるもの |
第14級9号 | めまいの自覚症状はあるが、眼振その他平衡機能検査に異常所見が認められないものの、めまいのあることが医学的にみて合理的に推測できるもの |
耳に関する後遺障害で障害等級が認定された場合の賠償金
交通事故による聴覚障害について後遺障害等級が認定されると、加害者側から様々な補償を受けることができます。
後遺障害慰謝料は、後遺症による苦痛を補償するためのものですから、その金額は認定された障害等級によってある程度決まってきます。
ただ、その金額はどのような基準を用いるかによって差が生じてくるのです。
自賠責基準
自賠責基準というのは、自賠責保険で定められた後遺障害慰謝料に関する基準です。
自賠責保険は、日本で自動車やバイクを運転する場合には加入が義務づけられる強制保険ですが、交通事故の被害者を最低限守るためのものであるため、そこで支払われる損害賠償金も低めになっています。
加害者側の保険会社が提示する任意保険基準は保険会社により異なり、詳細な基準は明らかではありませんが、およそ自賠責基準に少し上乗せした程度の金額になります。
弁護士基準
弁護士基準は、過去の裁判例をもとにした基準です。
弁護士が示談交渉をしたり、裁判を起こしたりする際に用いられる基準であり、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準という難しい名前の通称「赤い本」に掲載されている基準となります。
自賠責基準と弁護士基準について表にまとめると以下のようになります。
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級・要介護 | 1,650万円 (1,600万円) | 2,800万円 |
2級・要介護 | 1,203万円 (1,163万円) | 2,370万円 |
1級 | 1,150万円 (1,100万円) | 2,800万円 |
2級 | 998万円 (958万円) | 2,370万円 |
3級 | 861万円 (829万円) | 1,990万円 |
4級 | 737万円 (712万円) | 1,670万円 |
5級 | 618万円 (599万円) | 1,400万円 |
6級 | 512万円 (498万円) | 1,180万円 |
7級 | 419万円 (409万円) | 1,000万円 |
8級 | 331万円 (324万円) | 830万円 |
9級 | 249万円 (245万円) | 690万円 |
10級 | 190万円 (187万円) | 550万円 |
11級 | 136万円 (135万円) | 420万円 |
12級 | 94万円 (93万円) | 290万円 |
13級 | 57万円 (57万円) | 180万円 |
14級 | 32万円 (32万円) | 110万円 |
通常は、弁護士基準が一番高く、次に任意保険基準、一番低いのが自賠責基準となります。
できるだけ早い段階から弁護士基準で交渉を進めていくためには、早めに弁護士に相談することが大切です。
逸失利益
後遺障害の慰謝料の他に、後遺障害によって労働能力が喪失してしまった場合には、喪失していなければ将来得られたであろう収入について逸失利益として請求することができます。
逸失利益の計算にあたっては、後遺障害等級はもちろんのこと、収入や年齢、労働能力がどのくらい低下したかなども考慮して計算します。
一般的には、後遺障害等級が重いほど労働能力が低下して逸失利益が増えますし、収入は多ければ多いほど、年齢は若ければ若いほど、将来にわたって失う収入が増加するので、逸失利益が増えることになります。
ただし、逆に軽度の障害の場合には認められなかったり、後遺障害等級が認定されていても、労働能力を喪失していないとされることがあるため、注意が必要です。
その他の賠償金
交通事故による賠償金としては、後遺障害慰謝料や逸失利益ばかりではあります。
例えば、入通院慰謝料や休業損害などもありますし、当然医療機関に係った際の入院費、通院費、手術費、リハビリテーション費なども賠償金に含めることができます。
交通事故による賠償金は、交通事故によって生じた損害を補償してもらうためのものですから、適切な額の賠償金を支払ってもらうためにも、早めに弁護士に相談することは重要です。
後遺障害の障害等級を認定してもらう際のポイント
交通事故による耳の後遺障害について、適正な障害等級の認定を受けるためにはいくつかのポイントがあります。
ここでは、障害等級認定に際して押さえておくと良いポイントをご説明しましょう。
医師の診断を受ける
難聴や耳鳴りなどの症状は、早期に治療を開始することで効果が出やすい傾向があります。
逆に交通事故から時間が経過した後になって受診した場合には、たとえ後遺障害が認められたとしても交通事故との因果関係を否定されてしまうことがあります。
治療の効果を上げるためにも、また、後遺障害が残ってしまった場合により適正な後遺障害等級認定を受けるためにも、
- 早期に受診
- 全ての症状を主治医に訴える
- 適切な検査と治療を受ける
以上の行動が重要です。
必要な検査を受ける
聴力障害によって後遺障害等級認定を受けるためには、まず医療機関で診察を受け、治療をしてもらいましょう。
そしてこれ以上症状の改善する見込みがないという症状固定と診断された上で、検査を行います。
この検査結果を用いて、後遺障害等級が決定されます。
適切な後遺障害等級を認定してもらうためには、該当すると思われる聴力障害について、後遺障害等級の決定基準に関する適切な検査を受ける必要があるでしょう。
症状を正確に反映した後遺障害診断書をもらう
認定を受ける際には、担当医に後遺障害診断書を書いてもらうことになります。
後遺障害診断書には障害の内容や程度に加えて、障害が交通事故によるものであるという証明が必要です。
そして障害認定にあたって必要になるであろう自覚症状や検査結果に関する記載も漏れがないように記載してもらいます。
こうした内容に関するアドバイスが必要な場合には、早めに交通事故の専門家である弁護士に相談しておくと良いでしょう。
まとめ
交通事故に遭ってしまい、耳に障害を持つことになってしまったら、生活への影響は少なくありません。
適切な補償を受けるためには、適切な資料を集め、障害に見合った主張をし、必要であれば交渉することが求められます。
その際には、早い段階から交通事故の専門家である弁護士のアドバイスを受けておくことが役に立つでしょう。
交通事故で後遺障害を負った方は、気軽に弁護士に相談してみると良いでしょう。
交通事故によるトラブルに関することなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を
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