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子供の車内放置で親の責任はどう問われる?弁護士が保護者の罪状について解説

子供の車内放置で親の責任はどう問われる?弁護士が保護者の罪状について解説

ここ最近、子供が車内に放置されていたという話を耳にすることが多くなりました。

特に夏場に関しては、あっという間に車内が高温になることから命を落としてしまう子供もいます。

夏場だけでなく、いつどのような場合においても、車内に子供を放置するのは非常に危険です。

では、子供を車内に放置した際、保護者はどのような責任を問われるのでしょうか?

近年増加している子供の車内放置についての保護者の罪状を、弁護士が詳しく解説します。

子供を車内に放置する事件は増加している

子供を車内に放置する事件は増加している

子供の車内放置は、近年ニュースでもよく耳にするようになりました。

ニュースの詳細を聞くと、何も抵抗できない子供がどのような思いだっただろうと胸が詰まります。

子供の車内放置に関しては様々なケースがあります。

よくあるケースについて、いくつか例を挙げてみましょう。

  • 保育園に連れていったつもりだったが置き去りにしていた
  • 子供を車内に放置したまま、親が飲食店へ繰り出した
  • パチンコに行くため、子供を車内に残した
  • 長女を送り届けた後、次女を車から降ろすのを忘れていた

実際に起きた事例を見ると、子供を持つ親として信じがたい内容もあることでしょう。

しかし現実には、このような子供の車内放置が起きているのです。

なぜ車内に子供を置き去りにすることが増えているのか?

子供を車内に置き去りにすることは危険であると言われているにも関わらず、なぜそのような事態が起こり続けているのでしょうか?

保護責任者の想像力の欠如

子供が車内に置き去りにされることが増えている理由としては、保護責任者の想像力の欠如が考えられます。

暑い時期に車内に子供を放置するとどのようなことが起きるか、子供の身体に及ぶ悪影響や危険性などについての理解と想像力が乏しいことから子供の車内放置が増えているといえるのです。

子供を車内に放置することの危険性に関する理解不足が、結果として車内放置を招いてしまうのです。

短時間だからという油断

短時間の用事だからという油断が、子供の車内放置を招くことにもなります。

数分で済む用事だったので寝ている子供をそのままにして車を降りた、チャイルドシートから下ろすのが面倒・・・など、保護者の都合で子供が置き去りにされることが多いです。

このような場合、大人一人に対して子供一人や二人などと手が足りない状況であるケースも多くなっています。

ちょっとした油断や大人の人手不足などが原因で、子供の車内放置は頻発しているのです。

車内に放置された子供は命の危険に晒される

車内に放置された子供は命の危険に晒される

子供の車内放置、夏場は特に注意が必要です。

真夏の炎天下に置かれた車の中は、たった1時間ほどで50℃ほどの高温となります。

まだ体温調節がうまくできない子供は、短い時間でも熱中症になるし、また子供の身体は水分の代謝も早く、大人よりも短時間で脱水症状に陥ります。

子供自身が自分で窓を開けたり外に出るということが難しいため、身体はますます危険な状態になります。

エンジンをつけて、窓を開けておく、エアコンをかけておくという方法も、うっかり子供が触ってしまうことで、車が急発進したりガス欠によりエアコンが停止してしまうことも考えられるため良い対策とはいえません。

子供の車内放置、親はどのような責任を問われる?弁護士が解説します

子供を車の中に放置することで問われる責任は、状況によって異なります。

ポイントは、危険性を認識していたかどうかという点になります。

以下で、親が問われる責任について詳しく見ていきましょう。

危険性を認識していた場合は「保護責任者遺棄罪」に該当する

子供の車内放置に関しては、罪状が整えられています。

保護責任者遺棄罪(刑法218条)に該当し、保護を必要とする者の命を保護するため犯罪として罰せられるようになっています。

保護責任者遺棄罪は、子供だけでなく高齢者や身体障害者など保護する責任のある者に対して行なわれた場合にも成立するのが特徴です。

保護を必要とする者がいながらその場所を離れることで命の危険が生じるということから、遺棄という言葉が使用されています。

保護責任者遺棄罪に該当した場合、3ヵ月以上5年以下の懲役で処罰される可能性があります。

車の中に放置することで子供が怪我をした際には、3ヵ月以上15年以下の懲役、保護を必要とする者が死亡した場合は3年以上の懲役となることから、罪の重さが理解できるでしょう。

危険性を認識していなかった場合は「重過失致死罪」に該当する

子供を車内に置き去りにすることの危険性を認識していたとまで言えない場合は、保護責任者遺棄罪には該当しません。

しかし、子供の年齢や健康状態、その日の天候や車内に放置していた時間帯などから、子供が危険な目に遭わないよう未然に防止する義務が保護者には発生します。

このような義務に違反して子供を車内に放置した結果子供が死亡してしまった際、重過失致死罪が問われることとなります。

子供の車内放置で逮捕された場合の手続きの流れ

保護責任者遺棄罪や重過失致死罪などにより逮捕された場合、はじめに最大3日間警察署で拘束され、取り調べなどを受けます。

証拠を隠滅しようとするなど検察官が訴えて裁判官が許可すると、さらに10日間身体を拘束されることとなります。

状況によって、拘束される期間が延長される場合もあるので注意が必要です。

その後、証拠隠滅などの恐れがないとなると釈放になることがあり、釈放の有無にかかわらず刑事裁判で処罰の内容が決定します。

車内に放置されている子供を見かけたときの対処法

車内に放置されている子供を見かけたときの対処法

子供を車内に放置するケースが頻繁に起きているなか、もしも自分がその状況を目の当たりにしたら、どのように対処すれば良いのでしょうか?

ここでは、車内に放置されている子供を見かけたときの対処法について考えてみましょう。

最初に子供の様子を確認する

車内に子供が残されていることに気が付いたら、まずは子供の様子を確認しましょう。

以下のような様子が見られたら、早急に対応することが求められます。

  • 呼びかけても反応がない
  • 明らかにぐったりとしている
  • 激しく泣き叫んでいる
  • 汗だくになっている

子供の命に危険が迫っているサインであるため、すぐに救出に取り掛かりましょう。

大人しく座席に座っていたとしても、天候によっては熱中症のリスクが高まります。

子供の命を救うため、冷静に行動することが重要となります。

店舗の場合はスタッフに、それ以外の場合は警察に連絡する

子供の様子を確認した次に、近くに保護者がいないか探してみます。

近くに保護者の姿が見当たらない、子供に危険が迫っているという場合、店舗であればスタッフに状況を説明しましょう。

店舗ではない駐車場などでは、警察に連絡をします。

慌てているなかでの連絡となるため、できる限り冷静に状況を伝えられるようにすることが大切です。

どこで子供が車内に置き去りにされているか、車内の子供はどのような様子かなどを正確に伝えるようにしましょう。

窓ガラスを割って救出を行なうことは罰せられない

すぐにでも子供を助け出す必要がある状況においては、車の窓ガラスを割って救出を行なうこととなります。

他人の財産を破壊する行為であるため違法になるのではと思われますが、法律上は人命救助のために認められます。

刑法第37条「緊急避難」、刑法第698条「緊急事務管理」より、罰せられることはありません。

窓ガラスを割って子供を助けるためには、子供が座っている場所から離れた窓ガラスを割るなどの工夫をして怪我を予防することが大切です。

子供を車内に放置するのは罪になる!子供の命を第一に考え、行動しよう

子供を車内に放置するのは罪になる!子供の命を第一に考え、行動しよう

子供を車内に放置することは、保護責任者遺棄罪や重過失致死罪に該当し、保護者は罰せられます。

気候によって車内は過酷な状態となり、保護者のちょっとした油断が子供の命を奪う原因となってしまいます。

日ごろから、子供の命を第一に考え行動することが大切です。

子供は自分で訴えることが難しい場合も多いため、保護者の予防義務もあります。

保護者の立場だけでなく、子供の車内放置を見かけた際の対処法についても理解を深め、子供の命を守る行動を心がけましょう。

子供の車内放置トラブルのことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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この記事の監修者

大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
子供の車内放置トラブルについてお困りごとがございましたら、どんな些細なことでもかまいませんので、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。