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債権回収方法について知りたい!未払いの代金を回収するための流れを分かりやすく解説

未払いの売掛金があることを知った経営者

「納品したのに取引先の会社が代金を支払ってくれない」

「支払いの期日が過ぎているけれど代金が支払われる様子がない」

経営者や個人事業主には、このような出来事が1度は経験があるのではないでしょうか。

未払いの代金を回収できなかった場合、自身の事業が経営難に陥る可能性があります。

このように取引先が代金を支払ってくれない場合は、法的措置に則り順序を追って未払い代金を回収することができます。

今回は債権回収方法について、どのような措置を取ることができるのかを詳しく解説します。

状況に応じた債権回収方法を取れるよう、具体的な流れを確認しておきましょう。

取引先の未払いに対する流れ

取引先の未払いに困るフリーランス

取引先の未払い代金は、一般的には以下のような流れで回収することができます。

電話やメールなどで支払いを促す

まず最初にすべきことは、相手に電話やメールで支払いを促すことです。

取引先によっては、支払い日をうっかり忘れてしまっていることもあり得ます。

契約上、こちらには代金の支払いを受ける権利があるため、遠慮せず督促しましょう。

債務者に支払いの意思があれば、この段階で回収することができるでしょう。

もし相手方に払う意思があったとしても、来月以降でなければ支払えない、分割で支払いしたい等の提案があった場合には、その内容を証拠として記録するためにも「合意書」を作成して書面を取り交わしておきましょう。

まずは書面を用意して送る前に、電話やメールで代金を支払ってもらえるようお願いしてみましょう。

内容証明郵便を出す

債務者に出す内容証明郵便

取引先が電話に出ない、メールの返信も来ない、何度も請求書を送っても相手方の反応がない等のときは書面を送って支払いを催促することになります。

内容証明郵便とは、郵便局が差出人・受取人・差出日時・内容を証明してくれるものであり、記載内容を確かに受領したという事実を証明できる郵便形式です。

以下のような内容を記載して送ることで、相手方に支払いを促すことができます。

  • 債権の金額とその根拠
  • 支払い期限
  • 支払い先の振込口座
  • 期限までに支払いが確認できない場合法的手段をとること
  • 訴訟となる場合は、債権金額や弁護士費用も請求に加えること

期限までに支払いが確認できない場合は法的措置を取らざるを得なくなるといった文面を記載しておくのが一般的です。

法的な力はないため内容を履行しなくても罰せられることはありませんが、取引先にプレッシャーを与えることができます。

入金期限を記載して請求書や書面を用意して送付すると、取引先は期限に沿って支払いを済ませなければなりません。

内容証明郵便を利用すると消滅時効の中断にも活用できるので、取引先の代金未払いで困っているときに試してみたい方法です。

債権回収のために訴訟を起こすことになった際にも、内容証明郵便を証拠として活用できます。

内容証明の書き方

内容証明郵便を作成するとき、記載する内容と合わせて書き方も確認した上で取り掛かりましょう。

内容証明に関しては以下の決まりがあるため、それに沿って作成していく必要があります。

文字
形式文字制限
縦書きの場合1行20文字以内、1枚26行以内
横書きの場合1行13文字以内、1枚40行以内
用紙

種類やサイズなどは自由です。

送る相手が一人だと、相手・郵便局の保管用・自分用で合計3通必要になります。

文章が2枚以上となるときは、その綴目に契印をしなければならないので印鑑も用意しておきましょう。

法的措置を検討する

電話やメール、内容証明郵便まで送ったけれど代金が支払われない、何の連絡も来ないというときは法的措置を検討することになります。

取引先との関係性を悪化させないため、法的措置は最終的な手段として置いておくと良いです。

内容証明郵便まで送ったのに代金を支払ってもらえない場合は、法的措置へと移ることになります。

未払いの代金回収のための法的措置の内容

ここでは、未払い代金を回収するためにとれる法的措置の内容について見ていきます。

仮差押え

債権回収の際には、相手が所有する財産を勝手に処分してしまわないよう仮差押えという方法をとることができます。

仮差押えとは、訴訟の前に債務者の財産を凍結して処分させないようにする手続きです。

民事保全と呼ばれることもあります。

訴訟で判決後に債務者から支払いがされない場合に仮差押えしていた財産から強制的に支払わせることができます。

仮差押えの対象となるもの以下の通りです。

  • 預貯金
  • 不動産(土地、建物)
  • 商品在庫
  • 機械などの動産
  • 生命保険
  • 自動車
  • 株式・投資信託
  • 売掛債権
  • 債務者が個人であれば、勤務先から支給される給与や役員報酬

債権回収のために行なう保全手続きにあたり、この保全手続きには仮差押えと仮処分の2種類があります。

債権回収の前に相手が財産を手放してしまったということなくきちんと支払ってもらうため、裁判所で保全手続きを行なう必要があるのです。

仮差押えの後は訴訟を起こすことが原則になります。

仮差押えだけで早期に債権回収できることがある

仮押さえをした時点で債権を回収できるケースがあります。

これは、仮押さえによって債務者の対象となる財産の処分が禁止されると、事業に支障が出てきてしまうケースです。

財産を活用することで事業を遂行している債務者にとって、仮差押えされることは痛手といえます。

仮押さえを解いてもらうために、できるだけ早く債務金額を支払おうという流れになるのです。

債務者にプレッシャーを与えることができ、結果的に早く債権回収が可能となるケースもあります。

裁判所に支払い督促を申し立てする

支払督促状

仮差押えの他、支払い督促手続きで裁判所から相手方に支払いを命じてもらうことが可能です。

支払い督促手続きは、書類審査のみで裁判所から支払うよう指示を出してもらえる制度です。

通常の裁判とは異なり、自身が裁判所に出向く必要がありません。

証拠の提出も必要なく、支払い督促手続きにかかる手数料も通常の裁判と比べると半額なので、大きな負担を背負うことなく申し立てができます。

支払い督促手続きの際は「仮執行宣言」を発行してもらうことでよりスムーズに強制執行まで行なうことができるため念頭に置いておきましょう。

「仮執行宣言」とは、裁判で勝敗が分かる前に相手方の財産を強制的に処分できるという効力をもったものです。

債務者から異議申し立てがあった場合

債権回収のために気軽に申し立てができる支払い督促手続きですが、一方の相手側はその内容に納得ができない場合に異議申し立てを行なうことができます。

相手方から異議申し立てがあった場合は、そのまま通常の訴訟へと進んでいくことになるため支払い督促手続きによるメリットは得られなくなります。

このような流れから、支払い督促手続きは相手方と争いが起きておらず反論される可能性が低いと考えられるときに適した手続きといえるのです。

民事調停

仮差押えや支払い督促手続きの他、債権回収方法には手段として民事調停という方法も挙げられます。

民事調停手続きとは、裁判所で当事者間が話し合いを行ない解決を図るという制度です。

原則として、話し合いは当事者と調停委員のみで行われます。

場合によっては裁判官1名と民間からの有識者2名からなる調停委員会の許可を受けて、利害関係者が参加することもあります。

話し合いにて相手方がきちんと支払う意思を示す場合は、スムーズに解決することができます。

民事調停は、弁護士に依頼せず自らの申し立てで行なうことが可能です。

訴訟

相手方に支払いを促したけれど払ってもらえる様子が見られない、民事調停で話し合いをして解決することも難しかった、そのようなときは債権回収のため訴訟へと移ることになります。

訴訟には以下のように少額訴訟と通常訴訟とがあるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

少額訴訟

少額訴訟は、60万円以下の代金の支払いを求める場合に限り利用ができるものです。

簡易裁判所の制度になり、通常の裁判とは少し違いがあります。

原則として1回の審理で終了し、その場ですぐに判決が言い渡されます。

支払い督促手続きと同じように、簡単かつ迅速な手続きで債権の回収が可能です。

少額の債権回収の場合は弁護士に依頼することで弁護士費用が割高になってしまうことがあります。

一般の市民が自身で訴訟を行なうのも時間と手間がかかり大変です。

そのようなニーズを満たすために作られたのが、少額訴訟という制度です。

一方、少額訴訟を起こした際に相手方が反対したときは通常訴訟に移行することになります。

通常訴訟に移ることで時間が多くかかってしまうことがあり、言い渡された判決内容に不服がある際不服申し立てを行なうことができないという点に注意が必要です。

通常訴訟

少額訴訟などで解決に至らなかったとき、通常訴訟に移ることになります。

請求額によって管轄の裁判所が変わってくるため、以下を押さえておきましょう。

請求額管轄
請求額が140万円以下簡易裁判所
請求額が140万円を超えるとき地方裁判所

通常訴訟では、当事者が契約内容の主張や立証などを行ない、裁判所が証拠に基づいて当事者の言い分を整理していきます。

解決に至るまで半年から1年という期間が必要になることもあるので、通常訴訟になるとある程度の期間がかかると思っておくと良いでしょう。

ただ実際には、判決が下されるまでの間に裁判所から和解の提案がなされることがあります。

支払い金額や支払い方法が記載された和解調書をもって訴訟の手続きを終えることも多いです。

手形小切手訴訟

通常訴訟よりも簡易迅速に債務名義を取得することができるのが、手形小切手訴訟です。

債務名義は、債務者に強制的に支払いをしてもらうために行なう強制執行へ進む際に必要となる公的機関が作成した文書です。

手形小切手を持っている債権者は、債務名義があることで強制的に債権を回収することができるのです。

手形に記載されている債権を振出人や手形保証人などに請求することを目的とした訴訟になります。

強制執行

裁判所の判断により無事解決したものの相手方が支払いに応じないという場合は、強制執行へと移ります。

債権者が申し立てを行ない、裁判所が差し押さえた相手方の財産から債権の回収を行ないます。

強制執行にも種類があるので、次の3つを確認しておきましょう。

執行の種類内容
不動産執行不動産を売却して支払いにあてる
動産執行在庫や設備などを売却して支払いにあてる
債権執行預金などを支払いにあてる

個人で債権回収する際の注意点

個人で債権回収しようと考えているフリーランス

取引先に代金を支払ってもらえないので困っている、どうにかして自身で債権回収を行ないたいと考えるときは次の注意点に気を付けながら慎重に進めるようにしましょう。

債権回収の相手方が個人の場合、支払いを請求してもなかなか支払ってもらえないというケースがあります。

支払い能力はあるのに支払う気がないのか、それとも支払いたくても支払えない状況にあるのかなどを見極めた上で対応することが大切となります。

相手方が個人であってもきちんと支払ってもらえるよう、自身で債権回収する際は注意点にも気を付けながら進めていきましょう。

債権の時効を確認する

債権には時効があるので、その期間について細かく確認しておくことが重要です。

旧民法では細かく規定が分かれていましたが、民法の改正により一部特殊な場合を除き統一されるようになりました。

民法改正により、債権の時効については以下のように定められています。

  • 権利を行使できることを知ったときから5年間
  • 権利を行使できるときから10年間

上記のように決まっている債権の時効ですが、定期金債権などの特殊な債権に関してはこれとは別に規定が設けられているため気を付けましょう。

債権回収をしたくても、時効の成立によって債権が消滅してしまうことがあります。

時効が成立する前に中断をする必要があります。

時効の中断は、次のような方法で行なうことが可能です。

  • 確定判決、確定判決と同じくらい効力をもつ権利の確定
  • 強制執行、担保権の実行、担保権の実行としての競売、財産開示手続き
  • 権利の承認

債権回収の際にどの手段を用いたかによって、時効の完成を猶予される期間が異なってくる点も押さえておきましょう。

債権の回収手段猶予される期間
支払い督促、訴訟上の和解、調停などへの参加事由の終了後から6ヵ月
強制執行、担保権の実行、財産開示手続きなど事由の終了時まで
仮差押え、仮処分事由が終了したときから6ヵ月を経過したときまで

契約書の内容を確認する

個人で動いて債権回収を図る際は、最初に相手方とどのような契約を交わしたのか契約書の内容を確認します。

契約書には代金の支払い日や支払いされなかった場合の対処法などについて、記載があるはずです。

この部分を確認して、どのように債権を回収すべきか考えてみましょう。

相手が支払ってくれないからといってすぐに支払い督促手続きや訴訟などを検討するのではなく、一度契約書の内容を細かく確認することが大事です。

契約書の内容を細かく確認することで、次にどの手段を用いて支払いを促せば良いかも見えてきます。

未払いが発生した段階ですぐに対応する

未払い対応を急ぐイメージ

個人で債権を回収するときは、代金が未払いになっているとわかった時点ですぐに対応しましょう。

発覚してすぐの段階であれば、相手に状況を伝えやすいです。

時間が経ってしまってからではうやむやにされてしまうこともあるため、未払いが発生したときにすぐに対応しましょう。

訴訟に要する労力を把握する

債権回収で訴訟へと移るとき、自身の主張を裁判官にしっかりと理解してもらわなければなりません。

主張を理解してもらうためには、書面を提出したり根拠となる証拠などを整理して提出することになります。

書面を整理・作成するのには相当な労力を要するため、訴訟となると心身ともに疲れてしまうこともあるということを覚えておきましょう。

訴訟については、弁護士に任せることもできます。

しかし証拠を整理するときなどは事実関係をよく知っている依頼者自身から話を聞くことになるため、どうしても労力が発生してしまいます。

訴訟は労力を要するものであると理解し、その上で踏み切るかどうかを考えることが大切です。

裁判所の申し立てには時間や費用を要することを理解する

個人で取引先に代金を支払ってもらう方法の一つとして、裁判所に申し立てることができます。

しかし、手続きを進めるにあたって、申立書を作成したり、必要書類を揃えなければなりません。

時間や費用、手間などが発生し、裁判所の書類チェックが厳しいことからなかなか受理してもらえないという事態も起こり得ます。

無事に裁判所で書類を受け付けてもらえたとしても、審理に時間がかかるのも事実です。

半年から1年ほどかかるケースもあり、裁判にかかる費用も発生してくるため自身にかかってくる負担が大きくなります。

債権回収を弁護士に相談するメリット

債権回収に強い弁護士

債権回収は、難航すると思われるとき弁護士に相談するのがおすすめです。

では、弁護士に相談するとどのようなメリットが得られるのでしょうか?

相手にプレッシャーを与えることができる

弁護士に債権回収の相談をすると、相手方とやりとりをする際にも弁護士が代わりに交渉してくれます。

このとき、相手方としては弁護士から連絡を受けるときちんと対応しなければならないと感じることでしょう。

支払い能力がある場合は早めに全額支払ってもらえる可能性が高くなり、支払い能力がない場合であっても分割払いに応じてもらうことができます。

弁護士を味方につけると相手にプレッシャーを与えることができ、ここからスムーズな債権回収が期待できるでしょう。

任意交渉や裁判の手続きがスムーズ

任意交渉や裁判に関する手続きに関してすべて弁護士に任せることができるので、スムーズに事を進めることができます。

任意で電話やメールなどをしている段階から、弁護士に相談しておくと良いです。

任意交渉でうまくいかなくなったときに、訴訟などの手続きを弁護士が代わりに進めてくれます。

裁判で必要な手続きを任せられるだけでなく、訴訟で勝訴した後の強制執行に関する手続きまでも任せることができ、身体的負担を感じずに済むでしょう。

任せることで精神的負担が軽減

債権を回収する際に必要な手続きをすべて任せることができるという点から、精神的負担も軽減されます。

仕事をしながら〇日までに裁判所に提出する書類を作成しなければならない、裁判所に出向く日が何日間かあるとなると、すべきことがたくさんあり精神的に参ってしまう可能性があります。

そのような精神的負担も、弁護士に債権回収について相談することで軽減が可能です。

債権回収するなら弁護士に任せることがおすすめ

代金の未払いについては、そのまま放置しているのはよくありません。

その際取り掛かることになるのが債権回収ですが、その方法にも様々な種類があります。

相手方との関係性や状況などを踏まえて、適した方法で債権回収していくことが大事です。

債権回収について詳しいことがわからない、書類を作る時間がないといったときは弁護士が力になります。

依頼者様から話を聞いた上で、進むべきステップや必要な手続きなどをアドバイスします。

債権回収でお悩みの場合は、弁護士にもぜひご相談ください。

債権回収のことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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この記事の監修者

大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
債権回収でお困りごとがございましたら、どんな些細なことでもかまいませんので、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。