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カスタマーハラスメントから従業員を守れ!企業が取るべき対応について解説

この記事の監修者
大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
カスタマーハラスメントのことなどでお困りごとがございましたら、どんな些細なことでもかまいませんので、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

カスタマーハラスメント

近年、様々な状況においていやがらせをすることを○○ハラスメントといい、社会問題の一つとしても取り上げられることが多くなりました。
そのなかにはカスタマーハラスメントと呼ばれるものもあり、企業にとって大きな問題に発展することもあります。
では、カスタマーハラスメントが発生したとき、企業は従業員を守るためにどのように対策を取れば良いのでしょうか?
企業が取るべき対応や実際の事例など、詳しくご紹介します。

Contents

カスタマーハラスメントから従業員を守るのは企業の義務

カスタマーハラスメントとは

悪質なカスタマーハラスメントが発生したとき、企業には従業員を守る義務があります。
事業主と従業員との間に契約が結ばれており、労働中に発生したトラブルや危険に関して従業員を守る必要があるからです。
いやがらせを受けることで、従業員のなかには精神的な苦痛を感じる人もいます。従業員の健康や業務に支障が出る場合も考えられるため、カスタマーハラスメントに対しては企業が迅速に対応し従業員を守ることが求められるのです。

カスタマーハラスメントとは?クレームとは違う?

まずは、カスタマーハラスメントとはどのようなものなのか、またクレームとはどう違うのかといった点について詳しく見ていきます。

カスタマーハラスメントとは

カスタマーハラスメントから従業員を守るのは、企業にとって大切な義務の一つです。
では、そもそもカスタマーハラスメントとはどのようなことを指すのでしょうか?
カスタマーハラスメントはモラルハラスメントの一種ともされており、カスハラと省略されて呼ばれることもあります。
消費者が企業に対して行なうものであり、その内容には理不尽な要求や謝罪の強要などが挙げられます。
店員の態度に不満があるから土下座しろ、飲み物が熱くてやけどしたから謝れなど、その内容は多岐にわたるのが特徴です。
謝罪を要求するだけでなく、金銭の要求をされることもあり、企業としても対応に苦悩しているのがカスタマーハラスメントです。
このカスタマーハラスメントが増えた理由には、SNSなどの利用が普及するなかで、消費者の要求するレベルが高まったということが考えられます。
商品やサービスにトラブルや手違いなどがあったら、SNSを通じてあっという間に拡散されてしまい企業のマイナスイメージが消費者についてしまうということが起こりうるのです。

そのため、企業にとっては、消費者の目を常に気にしながら商品やサービスを提供する必要が出てきました。

クレームとカスタマーハラスメントの違いとは

続いて、クレームとカスタマーハラスメントとの違いについて考えてみます。
2つの違いが曖昧な部分も多々ありますが、以下のような違いがあります。

クレーム・・・消費者が事業主に対して、商品やサービスなどの欠陥や不備を指摘し、別のものとの交換やサービスの追加を求めること

カスタマーハラスメント・・・消費者が事業主に対して不当な要求を押し付けること

事例によってカスタマーハラスメントかクレームなのかを判断するのはとても難しく、状況に応じて企業側は迅速かつ適切に対応することが求められます。

カスタマーハラスメントが発生したとき、企業が取るべき対応とは

カスハラをしている自覚がない男性

カスタマーハラスメントは、企業にとっても対応の仕方に困惑してしまうトラブルの一つです。
そんななか、従業員を守るためにできるだけ早く対応することも必要です。
そこで、カスタマーハラスメントが発生したときの企業の対応について解説します。

マニュアルや対応フローを作成する

いつどんなことが起きても冷静に対応できるよう、企業としては日ごろから備えておくことが大切です。
そこで、カスタマーハラスメントに関するマニュアルや対応フローを作成し、従業員とも共有しておきます。
どのようなシチュエーションが想定されるかを考え、シチュエーションごとに対応フローも作成しておくと、落ち着いて対応することができます。
管理者側もそれぞれの状況に応じて従業員がどのように行動すれば良いのかをあらかじめ確認できるので、カスタマーハラスメントが発生したときにも対処しやすいです。
今までにどんな事例があったか、事例ごとにどう対応するのがベストかを考えマニュアルを作っておくことで、従業員も安心して働くことができます。

マニュアルの作成と合わせて研修も大切

カスタマーハラスメントに関するマニュアルや対応フローが完成したら、次に従業員と日ごろからカスタマーハラスメントについて考える機会も設けましょう。
従業員に周知しただけでは実践に移しにくく、いざとなったときに対応できなくなってしまいます。
そこで、マニュアルなどをもとに研修を行ない、状況に合わせてどのように対応すべきかを練習しておきます。
研修にて実際に行動に起こすことで、カスタマーハラスメントに対してどう対応するのが良いのかを考えることができます。

相談窓口を設置する

カスタマーハラスメントは、いつどんなときに発生するかわかりません。
いざ直面したとき、従業員のなかには自身の対応が合っているかわからない、どう対応したら良いか混乱してしまう・・・といった悩みを抱えてしまうこともあります。
そこで、企業は相談窓口を設置し、従業員が気軽に相談できる場所を作っておく必要があります。
周りの人に相談しにくいと感じた場合にも相談窓口があれば安心して話すことができますし、カスタマーハラスメントに詳しい専門の職員からアドバイスをもらうことも可能です。
その結果、カスタマーハラスメントに遭遇したときにも適切に対処できるようになり、従業員のストレスも開放されるでしょう。

カスハラに対する証拠を集めておく

企業でカスタマーハラスメントが発生し対処していたものの埒があかない、消費者の勢いが強く、対応に戸惑うときもあるはずです。
様々な手段を用いても解決できない場合は、正確な証拠を集めておき、法的手段をとることも可能です。
法的手段へと移ることで、消費者による嫌がらせなどが止むこともあります。
客観的にカスハラであると証明できるものを用意したうえで法的手段へと移れるため、法律に詳しい弁護士に相談すると安心です。
証拠になりうるものには、録音された音声や防犯カメラの映像などが挙げられます。

緊急の場合は警察に相談を

カスタマーハラスメントといっても、その内容にはレベルがあります。
店内で暴れ始める、店員を脅したり暴力をふるってくる、このような場合は緊急性が高いとして警察に相談してください。
被害を増やさないためにも、状況が悪化してきていると感じたときに警察に相談すると良いです。

ハラスメントに関する法改正について

カスタマーハラスメントの法改正

様々なハラスメントが存在する現代では、厚生労働省によりカスタマーハラスメントに対する指針も挙げられています。
企業が消費者から迷惑行為を受けたとき、次のように取り組みを行なうことが望ましいとしています。

1. 被害を受けた社員から話を聞き、適切に対処できるよう体制を整えていく
2. 被害を受けた社員の心身へのダメージを考え、配慮する
3. 消費者からの迷惑行為による被害を防ぐための取り組みを行なう

これまで述べてきたように、カスタマーハラスメントの事実を受け止め適切に対処する、被害を受けた従業員を守るのが企業の役目といえます。

カスタマーハラスメントについて弁護士に相談するメリット

カスタマーハラスメントに関しては、企業だけで解決するのが難しい場合があります。
法的な問題が絡んでくる、悪質な消費者に対してどのように対応したらいいか途方に暮れている・・・など、従業員を守ろうとしている企業にとっても困惑する問題が起きることがあります。
そんなとき、頼りになるのが弁護士です。
企業が置かれている状況を把握し、どのように対策を取るのがベストかをアドバイスすることが可能なので、カスタマーハラスメントに関しても穏便に解決できます。
相手と交渉が必要になったときも、企業の代理人として弁護士が交渉を引き受けることも可能です。
交渉で解決が見込めないとなった際は、法的手段へ移ることもでき、企業を守るために弁護士が動き出します。
企業にとっては日々行なうべき業務がたくさんあり、そのなかでカスタマーハラスメントについても適切に対処しなければなりません。
従業員の心身を守ることも、企業の役目です。
そのようなとき、そばでサポートできるのが弁護士ともいえるのです。

カスタマーハラスメントに関するよくある質問について

内容が多岐にわたるカスタマーハラスメント、企業にとっては疑問点もたくさんあることと思います。
そこで、カスタマーハラスメントに関するよくある質問についてまとめました。

悪質なクレームによって従業員が土下座を強要された場合、強要罪に該当しますか?

カスタマーハラスメントでは、悪質なクレームによって従業員が脅されたり強要されたりすることがあります。
命や体、自由、財産などに対して害を与えるような内容で脅迫してきたり、暴行を加えるといったときには刑法にて強要罪が成立します。
今回の場合、土下座を強いられたときに相手がどんなことを言ってきたかといった内容が重要になります。
相手が言った言葉を聞き逃さないよう、耳を傾けておくことも大事です。

カスタマーハラスメントによって従業員が精神的苦痛を受けてしまったとき、企業としてはどのように対応したら良いのでしょうか?

カスタマーハラスメントに関する相談窓口の設置、上司が従業員に声をかけ状況を把握することから始めます。
そのうえで、業務の内容や量を調整し、従業員に負担がかからないように配慮するという方法があります。
従業員が対応できなくなった業務の引継ぎや、従業員が復帰できるようサポートすることが、企業に求められる対応です。

実際にあったカスタマーハラスメントの事例一覧

カスハラの裁判例

カスタマーハラスメントは、あらゆる業界や業種において発生しうる問題です。
誠意をもって消費者と接していても、相手が不快に感じた場合不当な要求をされることもあります。
日々いろいろなカスタマーハラスメントが発生している現代ですが、ここではいくつかの事例をご紹介します。

建築やリフォームに関するカスタマーハラスメント

建築やリフォームといった業界において、カスタマーハラスメントは発生しやすくなっています。
多くの場合が、施主から建築会社やリフォーム会社に対して行なわれるものであり、工事の内容や工事中のトラブルに関して言われるケースとなっています。
施主との間で合意ができたうえで進めていたのに思っていたのと違うと言われた、といったように、いざ工事が始まってから発生するカスタマーハラスメントも多いです。
建築やリフォームに関するカスタマーハラスメントについては、適切に対処したものの、顧客から工事代金の支払いを拒否されたり不当な値引きを要求、また工事が遅れたことに対する損害賠償を求められるなどのケースがあります。
下請業者をはじめとした様々な業者も関係してくるため、施主からのカスタマーハラスメントには慎重に対応することが求められます。

介護や福祉の現場に関するカスタマーハラスメント

今人手が足りず過酷な現場となっている介護や福祉の現場においても、カスタマーハラスメントは起きています。
その多くが、職員が利用者に怪我をさせてしまったといったケースとなっています。
利用者の家族が気づき、施設に伝えることで、施設側も対応を求められます。
施設の中の様子が見えづらくわかりにくい、利用者のなかには認知症の人もおり自身の不注意によって怪我をすることもあるのが施設の現状です。
施設のことが見えづらいという点から、利用者やその家族が自身の不注意であると認めづらいというのも事実です。
このようなとき、施設側に過失がない場合であっても、説明不足や家族に不信感を与えたなどの理由から慰謝料などの損害賠償を求められることがあります。
施設の風評被害にもつながる恐れがあるため、カスタマーハラスメントについては真摯に対応することが大切です。

学習塾やスクールに関するカスタマーハラスメント

学習塾や各スクールにおいても、カスタマーハラスメントは発生します。
生徒または生徒の保護者から言われることが多く、結果が出ていないという内容が多いです。
結果が出るまでには一定期間を必要とすること、生徒自身の努力や保護者の協力も不可欠であるのが事実であるものの、不当な内容のカスタマーハラスメントを受けることがあります。
学習塾などの企業側は、授業を担当していた講師が精神的なダメージを受けてしまったり、返金を要求されたり、また風評被害が発生しやすい現場でもあります。
状況によっては、消費生活センターや都道府県による介入にまで発展することもあるため注意が必要です。
塾やスクール側としては、契約書を整える、特定商取引法の要件を満たす状況を作っておくなどの対策が必要です。

裁判に発展したカスタマーハラスメント問題もある

様々な現場で起こりうるカスタマーハラスメント、なかには裁判にまで発展したケースもあります。

大阪地方裁判所にて有罪となったケース

平成28年に大阪地方裁判所にて判決が下された事案のなかに、カスタマーハラスメントに関するものもありました。大阪市内の職員に対し暴言を吐いたり、情報公開請求などを繰り返した結果、役所の業務に支障をきたしたというものです。
役所側からの面談強要行為の差し止め、損害賠償請求も認められました。損害賠償の額は80万円となりました。

保険会社で起きたカスタマーハラスメント

保険会社の窓口担当者と保険金についてトラブルが発生し、複数回にわたって長時間の電話をしたというカスタマーハラスメントも裁判にまで発展しました。
従業員に対して多大な困惑や不快を与えた、妨害行為になると訴えた結果、裁判で妨害行為の差し止めが認められました。

カスタマーハラスメントに正面から向き合えるよう、企業の体制の見直しや対策を実践しよう

カスハラに立ち向かう従業員

カスタマーハラスメントは、いつどんなことがきっかけで起きるかわかりません。
不当な内容から、従業員には大きなダメージも加わり、企業としても対応に追われてしまいます。
企業はカスタマーハラスメントから従業員を守る義務があることを念頭に、対処法やカスタマーハラスメントに関する体制を整えていくことが大切です。
専門的な知識が必要なときや企業だけでは手に負えないというとき、弁護士も全力でサポートします。
従業員を守るため、カスタマーハラスメントと正面から向き合っていきましょう。

カスタマーハラスメントのことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

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