法律に関するコラム

里親制度とは?里親になるために知っておきたい制度の内容をわかりやすく解説

この記事の監修者
大阪市の弁護士「阪倉篤史」

阪倉 篤史 弁護士

大阪市にある西横堀総合法律事務所、代表弁護士の阪倉 篤史です。
「日本一話しやすい弁護士」を目指して、日々研鑽に努めております。
里親制度のことでご不明点がございましたら、どんな些細なことでもかまいませんので、一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

里親制度

結婚後子どもを授かることができない、子どもが欲しいと考えている夫婦のなかには、里親制度について検討したいという人は多いです。
しかし、里親制度の内容や経済的負担について詳細がわからず、踏み込めない人も少なくありません。
今回は、里親制度とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。
制度の内容を理解し、改めて里親について考えてみましょう。

里親制度とは

里親制度について

里親制度について見ていくとき、里親という言葉の意味と制度の内容を理解することが大切です。
なぜ里親が必要とされるようになっているのかという背景も併せて、ご覧ください。

里親とは?今里親が必要とされる理由

里親とは、何らかの事情で子どもを育てることができない実の親に代わって子どもを育てる人のことを指します。
子どもがいない夫婦や、子どもがいる夫婦であっても里親になることが可能です。
夫婦だけでなく、独身者であっても里親になることができます。
今様々な事情があり児童養護施設に入所する子どもが増えています。
入所できる施設がなく、待機状態になっている子どももいるほど、今多くの子たちが安心して生活する場所を求めています。
そのような中で、児童養護施設では職員が1対1で子どもと接することが難しいです。
子どもにとって落ち着いて過ごせる家庭的な環境が必要なのですが、そういった環境を提供することが困難となっているのが現状です。
このような背景のもと里親制度が整えられ、政府は就学前の子どもの75%、就学後の子どもの50%を里親に託せるようにという目標値を設定しました。
里親制度が整えられていくなか、日本ではまだそれほど制度が普及していないのが現状です。
里親を必要としている子どものうち、里親制度によって養育されている子どもは少ないです。
それに対し、児童養護施設で育てられている子どもの数は多くなっています。

里親の種類について

里親制度を見ていくとき、里親には種類があることを理解しておく必要があります。
おおまかに5つの種類に分けることができ、それぞれ特徴が異なります。
里親を検討しているときは、種類についても確認しておきましょう。

養育家庭

一定期間里親になり、子どもを養育するのが養育家庭です。
一定期間とは、子どもが成人するまでまたは実親に引き取ってもらうまでを指します。
この養育家庭は、普通養育と専門養育とに分けることができます。
専門知識を持った人が障害児などの里親になることを、専門養育といいます。
一定期間のなかには、夏休みの間だけ、1ヵ月だけといった短期間も可能です。

親族里親

実の親が死亡・失踪などした場合、親族が子どもを引き取って養育することを親族里親といいます。
親族という間柄、比較的スムーズに親子関係を築くことができるという特徴があります。
親族にとっても血縁関係にある子どもであり、子どもにとっても安心できるという面から、お互いの関係を良好に保てることが多いです。

普通養子縁組里親

普通養子縁組によって、里親になることも可能です。
法律に基づいて親子関係になるのがポイントとなります。
法律によって親子関係になることができるものの、実親との親子関係もそのままとなるのが重要な点です。
里親申請を行ない、養子縁組届や戸籍謄本の準備をし、家庭裁判所にて審判されるという流れで手続きが進んでいきます。

特別養子縁組里親

特別養子縁組里親は、実親との親子関係がなくなります。
子どもにとっての親は、里親である人のみということになります。
戸籍謄本においても、養子であることがわからないよう処理されるのが特徴です。
真の親子関係となるため、里親になる大人にはいくつかの条件があります。
結婚していること、25歳以上であることなどの条件に伴い、特別養子縁組里親の手続きを進めていくこととなります。
里親となる人に条件があるだけでなく、子どもも6歳未満であることや実親の同意が必要といった条件が挙げられます。

小規模住居型児童養育事業

児童相談所の職員であった人や里親経験を持つ人が、自宅で小規模住居型児童養育事業を営み、5、6人の子どもを育てるという制度です。
里親のことを深く理解している人が子どもの親となり養育するという点から、子どもたちも安心してのびのびと育っていくことができます。

里親として養育できる子どもの年齢はいくつまで?

里親制度の年齢制限

里親制度は、その種類に応じて養育できる子どもの年齢が決められています。
種類ごとに子どもの年齢を確認しておきましょう。

養子縁組以外の里親 0歳から18歳までの子どもを養育することができます。18歳までとなっているものの、子どもの自立を促すために養育が必要であると判断された際には、20歳までの延長も可能です。
特別養子縁組 実親との親子関係がなくなり、里親となる人にも条件がある特別養子縁組においては、原則6歳未満の子どもが対象となります。ただし、状況に応じて年齢が変わってくるため、児童相談所にて確認する必要があります。
普通養子縁組 普通養子縁組では、子どもの年齢は何歳までと厳密に決められていません。里親となる人よりも年下であれば、普通養子縁組を行なうことができます。ただし、子どもが15歳未満の場合は、後見人の承諾が必要です。

里親に年齢制限や条件はある?

里親について考えるとき、子どもの年齢が気になるところですが、里親となる人の年齢も関係してくるため確認しておきましょう。
たとえば、東京都の場合、里親になることができる人の年齢を25歳以上と定めています。
上限はなく、60歳や70歳といった人でも里親になることができ、実際里親として立派に子どもを養育されている人もいます。
里親になる年齢に上限はないものの、普通養子縁組や特別養子縁組では里親の年齢も関係してくるため注意しましょう。
子どもが成人を迎えるまでに65歳以下であることが望ましいとしている自治体が多くなっています。
年齢制限に加えて、里親になるためには以下のような条件があります。

  • 家庭が円満である
  • 家族の全員が里親になることに同意している
  • 心身が健全である
  • 子どもの養育について深く理解し、愛情を持っている
  • 経済的に問題がない
  • 虐待などの心配がない

その他にも、条件がある場合があるため、詳細は児童相談所にて確認してみましょう。

里親の経済的負担について

里親制度の金銭的負担

子どもを立派に育て上げるためには、お金も必要となります。
里親を検討している人のなかには、経済的負担について不安を感じている人も少なくありません。
そのようななか、里親では補助金が設けられています。
里親の種類に分けて、国からの補助の有無など経済的負担について見てみましょう。

養育家庭、親族里親、小規模住居型児童養育事業の場合

  • 養育家庭、親族里親、小規模住居型児童養育事業においては、それぞれ国から補助があります。
  • 里親手当・・・養育里親である場合は月に72,000円(2人目以降は月に36,000円)、専門里親である場合は月に123,000円(2人目以降は月に87,000円)
  • 一般生活費・・・乳児1人に対し月54,980円、乳児以外の子ども1人に対し月47,680円
  • その他補助・・・幼稚園は実費、医療費は保険医療の範囲で里親の負担はない

その他補助に含まれる医療費や教育費は、児童相談所にて詳細を尋ねることができます。
子どもの年齢によっては、進学や部活動などにおいて費用が発生します。
そのような費用も、補助金で補えるようになっています。

養子縁組里親の場合

養子縁組里親の場合は、国からの手当や補助はありません。
一方、自治体によっては養育費を支給しているところもあります。
その詳細についても、児童相談所にて尋ねることが可能です。

里親はどこで紹介してもらえる?必要な手続きと里親になるまでの流れ

里親制度について見ていくなかで、実際の流れや手続きの方法についても知識を得ておくことが大切です。
ここでは、里親はどこで紹介してもらえるのか、里親になるためにどのような手続きが必要なのか、詳しく見ていきます。

里親の紹介場所

里親になりたいと思うとき、どこに相談をすべきかわからないということが多いです。
里親は、児童相談所や民間あっせん機関において紹介してもらうことができます。
児童相談所は全国にあるため、お住まいの地域の児童相談所に里親について尋ねることが可能です。
また、民間あっせん機関でも、里親を探したり、子どもを紹介してもらうことができます。
一点、民間あっせん機関を利用する場合は、事前に申請や研修があるため、受講しておく必要があります。

必要な手続きと里親になるまでの流れ

里親になりたいと考えるとき、児童相談所や民間あっせん機関に相談することができます。
その後、申請から登録までの手続きを終えるまで3ヵ月~6ヵ月ほどかかります。
都道府県によって手続きの詳細が異なる可能性があるため、ここでは一般的な流れについて以下で解説します。

  1. 児童相談所に相談
  2. 認定前研修に申し込み、受講する
  3. 里親認定申請書、里親研修終了証書、健康診断書、自宅の平面図、戸籍謄本など指定される書類を用意し、児童相談所や民間あっせん機関に提出する
  4. 児童相談所による家庭調査
  5. 児童福祉審議会里親認定部会にて、里親の審議を行なう
  6. 各都道府県の知事により里親に認定される
  7. 児童相談所などから里子を紹介される
  8. 児童との面会交流を行なう
  9. 里親と児童の様子を見て、児童相談所が委託できるかどうかを決定する
  10. 児童相談所が家庭訪問にて定期的に状況を確認
  11. 子どもが18歳になった、または実親に引き取られるときは里親への委託が解除になる

困ったときの相談先も確認を

里親になった時の相談先

里親になり子どもを育てていくなかで、困難な局面にぶつかる場合があります。
そのようなときは、以下の機関に相談してみましょう。

児童相談所

24時間体制で、トラブルや困り事に対応しているのが児童相談所です。
様々な傷を負い里子となっている子どもとの間に、トラブルが発生することも多々あります。
どのように対応したら良いかわからないというときは、児童相談所に相談しアドバイスをもらうことが可能です。

子ども家庭支援センター

市区町村に設けられている子ども家庭支援センターにおいても、子どもの養育に関して相談することが可能です。
子どもを育てる親として、困っていることを相談できます。

役所の子育てに関する課

役所においても、子育ての相談を受け付けています。
子育てに関する課につないでもらい、育児の悩みを聞いてもらうことが可能です。

各地域にある里親支援機関

地域によって、里親会などの里親支援機関も設けてあります。
同じ悩みを持つ里親同士交流を行なうことで、悩みの共有と解決策を見つけることにつながります。

弁護士

法的な手続きが発生したとき、弁護士も力になることができます。
状況を理解し、法的な観点から適切に対応することが可能なため、法律にまつわる問題が発生したときは相談してみましょう。

子どもと実親との関係はどうなる?

里子と実母の関係

里親の制度によって、子どもと実親との関係がどのようになるのか、気になっている人も多いでしょう。
最初に少し触れましたが、制度の種類によって子どもと実親との関係も変わってきます。
ここでは、里子となった後の、実親との関係性について考えてみましょう。

実親の親権が喪失、停止されるケース

里親によって養育される子どものなかには、実親から虐待を受けているケースもあります。
親権喪失は復権が難しいことから行使されるケースが限られていましたが、その後民法が改正され、虐待などから子どもを守るため親権の停止が可能になりました。
子どもと実親とを引き離すため、最長2年間親権を停止することができるのです。

里親と実親は会う必要がある?

里親になるとき、子どもの実親との関係はどのようにしていけば良いのか悩んでしまう人も多いです。
しかし、里親制度としては、里親と実親とが交流を持つことを強制されてはいません。
よって、実親との関係について、それほど悩む必要はないといえるでしょう。
一方、子どもが実親に会いたがっている場合は、対応することが求められます。
児童相談所に相談をし、子どものことを第一に考えながら対応していくことが大事です。

里親制度を理解し、子どものことを第一に考えながら里親の検討を

里親になるということは、大人と子どもの両方にとって大きな決断をするということです。
そこでまずは里親制度について細かく理解し、その上で子どもの気持ちを第一に考えながら、手続きを進めていきましょう。
子どもにとって安心して過ごせる環境を提供でき、家族みんなが平穏に暮らせるよう、里親についての知識を得ることが大切です。

 

里親制度のことなら大阪の弁護士「西横堀総合法律事務所」へご相談を

  • 西横堀総合法律事務所
  • 〒550-0003 大阪府大阪市西区京町堀1丁目4−22 肥後橋プラザビル 10F
  • 電話番号:06-4300-5725
  • 営業時間:平日8:30~17:30
  • URL:https://nishiyokobori-lawoffice.jp/